日本画関連情報

更新日:2004年02月19日

portrait(19)-渡邉貴裕

編集部 All About 写真

ローマで筆を握って3年目になりました。最初は、ヨーロッパの教会に興味があって、スペインからイタリアに入り・・・あれれぇー?って感じでいつの間にかここで制作をするようになりました。

文章:松原 洋一(All About「日本画」旧ガイド)
WATANABE TAKAHIRO
        

渡邉貴裕
1973年 東京都生まれ
1995年 武蔵野美術大学日本学科卒業
1997年 同美術大学大学院日本画家学科修了
     イタリア在住→その他の情報

イタリアに居ると、「今度日本に帰ったら、死ぬほど好きなもん食ってやる!」って思うのに、 成田に着いた瞬間から全く食べ物に興味がなくなる。結局、無いから食べたいだけ。 ないものねだり。

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◇表現したいものについて

「環境」とか「雰囲気」とか「空間」とか「領域」とか「時間」とか・・・その時の自分で感じられるものを素直に。


[PIOVERE・PERSONA]&[LUNA・ROMA・PERSONA]

    
◇いま関心のあること

ここ最近思ってるのが「ZINGARI(ジンガリ)」って呼ばれる人たちを描いてみたい、ということです。 遊牧民・ロマという意味なのですが、ローマで「ZINGARI」といえば、「スリ」「泥棒」「物乞い」「ホームレス」の代名詞です。 街に出れば、教会やスーパーマーケットごとに物乞いをしているし、車で信号待ちしているちょっとの時間にも、小銭を要求してきます。

上級ZINGARI(?)は普通のイタリア人より贅沢な生活をしてますし、 実際本当に貧乏で食べる物にも困っている人は極わずかで、そういう人たちにはシスターが愛の手を差し伸べています。

ローマに来て有名な彫刻、絵画、建築物を沢山みましたが、一番衝撃的だったのが、ZINGARIの子供の目です。 全否定の目・・・獲物を狙う目・・・。 どういう環境でどういう生活をしたらあんな目になるのか? 生まれた時からスリや物乞いの道具にされ、物心がついた時には、相手の物を盗むことを教育された子供たち。

そういう子供達を救いたいという気持ちも全くないし、否定も肯定もしないけど、あの目を作った「環境」とか「時間」とかを感じるままに 描いてみたいと今、思っています。
    
◇イタリア・ローマでの制作

ローマで筆を握って3年目になりました。 最初は、ヨーロッパの教会に興味があって、スペインからイタリアに入り・・・あれれぇー?って感じでいつの間にかここで制作をするようになりました。

基本的には、日本で制作している時と何にも変わって無いです。 制作できる環境を自分で作って、制作をして、発表する・・・。 作品を見る人間の肌の色と目の色が変わったくらいに感じます。

絵描きにしては、流れ易い性格で、人の話もすぐに信じるし、いろんな事をやりたがりな性格だったので、 日本で制作していた時は、筆の動かし方も、行動も、精神的にもふらふらふらふらしていた気がします。 でもそのふらふらしていた時間も沢山の経験になっているし、現在助かっている部分も多いので 無駄だったとは感じませんし後悔なんてしませんが・・・。

日本画、和紙、顔料全く見たことも触れたこともない人たちの文化の中で、生活し、制作するのは 厳しい面も多いですが、とても魅力的な事だと思っています。 自然体の状態に常に自分を置ける環境を作る事と絵筆を動かす事を一番に考えられる今の状況は、 宝物の様な時間だと思いながら生活しています。

この宝物の様な時間に感謝し、大事にして精進したいと思います。



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(執筆者:松原 洋一)

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