お金の教科書~はじめて編~/金融商品で貯める、増やす

金融商品のセーフティーネット

金融商品や金融機関を選択する前にすべきこと、それは金融機関のセーフティーネットや投資家や消費者を保護する法律を知ることです。そうすれば、金融トラブルに巻き込まれた時や金融機関の破綻でも泣かずに済みます。

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

貯蓄ガイド

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2-6 お金を守るためにこれだけは知っておこう

セーフティーネットとは、銀行や証券会社などの金融機関が破綻した場合に、預金者や投資家の資産や契約を守る枠組みを意味し、預金保険制度や投資者保護基金などがあります。また、複雑な金融商品が増え投資家がトラブルに巻き込まれることが増えたことから、投資家や消費者を保護する目的で、金融商品販売法や金融商品取引法、消費者契約法等が整備されました。これらは、大切な虎の子を守るために最低限知っておくべきことです。

今回のレッスンで知っておきたいポイント

Point1預金は1000万円とその利息まで保護

預金保険制度とは、銀行などの金融機関が破綻した場合に、その金融機関に代わって預金者の保護を図る制度のことです。運営は日本国内に本店がある銀行や信託銀行、信用金庫等が加入する預金保険機構が行い、1金融機関につき預金者1人あたり元本1000万円とその利息(決済用預金は全額)が保護されます。保護される金融商品は、普通預金や定期預金、元本補填契約のある金銭信託(ビッグや貸付信託など)などで、外貨預金や元本の補填契約のない金銭信託(ヒットやスーパーヒットなど)、日本に本店のある銀行等の海外支店や外国銀行の在日支店の預金などは対象外です。金融機関が合併した場合は、合併後1年間は合併前の金融機関数が考慮され、例えば3行が合併した場合は、3000万円とその利息が保護されます。農林中央金庫やJAにも預金保険制度と同様の制度があります。

Point2分別管理で影響なし

証券会社では、顧客から預った株券や債券、預かり金などの財産は、証券会社自身の財産と分別管理することが義務付けられているので、仮に証券会社が破綻しも原則顧客には影響はありません。万一、分別管理されていない場合には、投資者保護基金によって、1人1000万円まで保護されます。国内で証券業を営む証券会社は、外国法人の証券会社の在日支店も含めて、すべて投資者保護基金への加入が義務図けられています。

Point3重要事項説明を義務化

「金融商品販売法」とは、銀行や保険会社、証券会社等の金融商品販売業者に対して、個人や事業者(プロは除く)に金融商品を販売する際に重要事項の説明を義務付けた法律です。重要事項には、金利リスクや信用リスク、市場リスク、元本欠損のリスク、権利行使期限、解約禁止期間等が含まれます。対象となる金融商品は、預金を始め債券、株式、投資信託、保険・共済商品など多岐にわたります。万が一業者の違反によって損害を被った場合には、販売業者に損害賠償請求ができます。ただし、立証責任は消費者側にあるので、メモを含め書類等は整理・保管しておきましょう。

Point4販売や勧誘のルールで投資家を保護

「金融商品取引法」とは、幅広い金融商品を対象に、投資家保護のルールを徹底し、利用者の利便性を向上する等の目的で制定された法律です。投資家を、知識・経験・資産状況等により「特定投資家(プロ)」と「一般投資家(アマ)」に区分して、適用する規制に差をつけました。金融商品取引業者が守らなければならない主な販売・勧誘ルールには、
・適合性の原則:顧客の知識や経験、資産状況、購入目的等を確認した上で顧客に合う商品を販売・勧誘する
・書面交付義務:契約前に商品の仕組み、リスク、コストなどの重要事項について記載した書面を交付する
・禁止行為:断定的判断の提供、虚偽の説明など
・広告規制:リスク情報や手数料など表示すべき事項や文字の大きさや表現方法等
などがあります。金融商品取引業者は、内閣総理大臣に申請、登録しなければなりません。

Point5契約しても取り消しや無効が可能に

消費者の利益の保護を図ることを目的に制定された「消費者契約法」は、消費者(個人)と事業者の間で交わされるすべての消費者契約を対象に、次の2点を定めています。
・事業者の不適切な行為により消費者が誤認・困惑して契約を結んだ場合には、消費者はその契約を取り消すことができる
・消費者の利益を一方的に害する条項や、事業者の賠償責任を免除する条項、消費者の損害賠償額の予定条項などは無効
取り消しができるのは、消費者が誤認していたことに気付き追認できるときから6ヶ月、契約から5年以内で、「取り消しの意思」を明記した書類を事業者に送付する必要があります。なお、消費者側に「取消事由」の立証責任がありますので、説明資料やメモ等は保管しておきましょう。同じような制度に「特定商取引法」のクーリングオフがあります。トラブル解決に有利な制度を選択する賢明さが必要です。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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