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70年代の名作映画ベスト5:ヨーロッパ編(2ページ目)

「もう一度観たい70年代の名作映画ベスト5」の第2弾は、ヨーロッパ映画編をお届けします。地味な中にも深い味わいのある映画史に残る秀作群です。

執筆者:中野 豊

銀幕に映し出される夢の世界を解き明かす
第2位:『映画に愛をこめて アメリカの夜』

映画に愛をこめて アメリカの夜
映画を見る人、創る人共に必見の『映画に愛をこめて アメリカの夜』
タイトルの「アメリカの夜」=カメラにフィルターをかけ昼間に撮影した場面を夜に見せてしまう技法で、要は映画や人生の虚実のシンボルということですね。

美しい灯の蝋燭の裏に仕掛けられた電球。歩いている男を正面のカメラがレールの上をバックしながらの撮影。歩いている男性の脚は、レールに敷かれた枕木を踏まないように高くあげるのですが、ファインダーにはバストショットしか映りません。などなど……。映画の撮影現場見学といった趣向です。

映画の中で映画を撮影する「2本の映画」を同時に楽しめるといった二重構成となっています。映画を愛するすべての人々への贈り物です!

【作品情報】
・1973年/フランス=イタリア映画
・上映時間:117min
・監督:フランソワ・トリュフォー
・出演:ジャクリーン・ビセット、ジャン=ピエール・レオ、ジャン=ピエール・オーモン、フランソワ・トリュフォー

甘美と退廃のヴィスコンティ・ワールド最高作!
第1位:『ベニスに死す』

ベニスに死す
ミラノの名門貴族出の映画作家ヴィスコンティの『ベニスに死す』
70年代のルキノ・ヴィスコンティ監督作品には『ルートヴィヒ・神々の黄昏』、『家族の肖像』、遺作となった『イノセント』と名作目白押しですが、1本選ぶとすると本作『ベニスに死す』ということになります。

トーマス・マンの傑作小説の映画化。夏のベニスのリド島のホテルへバカンスにやってきた高名な作曲家アッシェンバッハ(ダーク・ボガート)が、母親とホテルに滞在している美少年タジオ(ビヨルン・アンデルセン)に心奪われ、しまいには年甲斐もなく髪を黒々に染め、白粉(おしろい)を塗って、口紅をさしたおぞましい姿でタジオを追い求める……。

芸術家の美への執着は、正気とは思えぬ行動へはしらせ、恋する者の不安と恍惚がものの見事に描かれています。尋常ではない官能・耽美のわしづかみドラマは、傑作揃いのヴィスコンティ作品でも群を抜いた傑作で、70年代のヨーロッパ映画で最も心に残った逸品です。

【作品情報】
・1971年/イタリア=フランス映画
・上映時間:131min
・監督:ルキノ・ヴィスコンティ
・出演:ダーク・ボガード、ビヨルン・アンデルセン、シルヴァーナ・マンガーノ、ロモロ・ヴァリ


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