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名作に学ぶ悲しき恋愛

男と女の間には、互いに知らない心の秘密があるようです。そこで映画から、人のココロを読み取ってみます。参考映画は3本。『アニー・ホール』、『哀愁』、『ある愛の詩』から。

執筆者:中野 豊

映画は、恋人たちの言動を俯瞰でみることができますし、恋する二人のそれぞれのココロを同時に知ることができます。

「始めるのは容易く、終わらせるのは難しい」恋愛は、戦争に似ているとの先人の言葉があります。別れのエネルギーは始めるそれに比べてどれだけ大きいのか。今回は“悲恋”の名作映画3作品から恋愛渦中の恋人のココロ根にフォーカスします。

自分を会員にするようなクラブの会員にはなりたくない

アニー・ホール
1977年/アメリカ映画/ウディ・アレン監督作品『アニー・ホール』
「二人の恋のスタイル」を表現している映画の名セリフを標題にしました。それぞれの恋愛が何故終末を迎えることになったのかを探ってみます。

標記のセリフは、映画『アニー・ホール』の冒頭にウディ・アレン扮するアルビー・シンガーのモノローグの中の一節。ジョークともとれますが、恋する相手を「クラブ」と置き換えれば、多くの恋人たちが抱えるパラドックスになります。

相手が素敵であればあるほど恋心はつのり、気を惹きたいと思うもの。どこかで、自分には不釣合いかも、と逃げ腰になる気持ちもあるかもしれません。そこで恋人たちは自分をよく見せようと仕事で頑張ったり、着飾ったりします。こうして恋人たちは相手が望む「タイプ」へと変わり、愛が深まり、やがて信頼関係が築かれてゆくものです。ところが、恋愛関係が落ちついてくると倦怠期なるものがやってきて恋心というエネルギーは、減少したり、外に向いていったりすることでしょう。

『アニー・ホール』のアルビーとアニー(ダイアン・キートン)のインテリカップル二人の場合、恋愛によって輝きを増したのはアニーの方でした。神経症のアルビーは、日々素敵に成長してゆくアニーが「浮気をしないわけがない」とネガティブな感情にココロが支配されてゆきます。

アルビーは自分にも相手にもココロのウソをつきながら、背伸びし“クラブ”(アニーの比喩)に入会したのですが、実力以上に相手によく思われたい、尊敬されたいという男のエゴを見抜いたアニーの知性が、ひとつの恋に終止符を打ちました。

■教訓
恋愛の成就や継続のコツは、本音で語り、等身大の自分で居ることです。そして相手を信じること。仮に「ウソ」かもしれないと思うことでも相手の言葉を信じ続けること。信じる者は救われます。

次ページは、『哀愁』、『ある愛の詩』の恋人たちのココロを。
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