文章:南 樹里(All About「映画」旧ガイド)
『天空の草原のナンサ』ビャンバスレン・ダバー監督来日記者会見
~遊牧民の少女が子犬と出会ったことから始まる愛すべき物語~
前作『らくだの涙』(2003/ビャンバスレン・ダバー、ルイジ・ファロルニ)がアカデミー賞にノミネートされるなど、世界各国で大絶賛されたビャンバスレン・ダバー監督が、ふたたび故郷であるモンゴルに戻り描いたのが、この『天空の草原のナンサ』。監督が祖母から伝え聞いた「黄色い犬の伝説」をベースに、実際にモンゴルの草原に暮らす遊牧民の家族と2ヶ月間生活を共にしながら撮影された伝統的な生活と美しい自然が楽しめるドキュメンタリーのようなドラマ。日本公開にあたり監督が来日され「非常にすばらしい、の一言につきます」と日本の印象を述べた。
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■子どもたちとはどうやってコミュニケーションを取っていたのですか?
----常に友達という感覚で、遊んでいる感じで撮っていました。
■あの遊牧民の一家(写真)との出会いについて?
----非常に苦労しました。学齢期に達した子どもが居て、さらにそれよりも小さい子供がいる家庭というのを絶対条件として探しました。というのは、学校に行く子供が居る遊牧民の家族と言うのは、これから都会で暮らすべきかどうかを悩んでいるからです。彼らと出会うのに実に2週間かかりました。
■前作『らくだの涙』に続き、再び動物をテーマに撮られたことについて?
----やはり、動物は人間のいうことを聞かないという点で苦労しました。モンゴルの遊牧民を描く上で、人・自然・動物は絶対に切り離すことができないので、今回も動物を描いたのです。
■家族の絆について
----人と人との絆は細く、切れてしまいやすいものだけれど遊牧民はより深い結びつきをもっていると思います。それがなくなるのは残念なことです。ゲルの解体シーンは、絆が強く結ばれているものが解体されて、遊牧民と共に移動し、移動先でまた強く結び直される----そこに家族の絆を描きたかった。輪廻転生の意味も含めて撮りました。
■今、ミュンヘンにお住まいになっている理由は?
----映画を勉強したくて学校へ行こうと思ったら、ドイツは奨学金制度が充実していたので、ドイツを選びました。まだ大学を卒業していないので、現在はミュンヘンで生活しています。
■脚本で苦労した点は?
----前回の『らくだの涙』と同様、私が描いているのはごく普通の生活なので、あるがままを撮ろうと思ったので、特に苦労はありませんでした。
■脚本はどちらで書かれましたか?
----全てドイツで書きました。(撮影だけがモンゴルです。)今回はドイツが出資国なので、もちろんドイツ語で脚本も書きました。次回は日本語を勉強して、日本語で脚本を書いて、日本の方に出資してもらおうかしら(笑)。
■見事パルムドッグ賞に輝いた犬の演出について
----実際、子供より犬の方が扱いやすかったです。子供は気分によるけれど、犬はおいしそうなハムを置けば、そこへ走っていくので、その姿を撮影しました。私の撮り方は「今日はこうしよう」といって撮るのではなく、今の動きを見て、撮りたいと思った時に撮る。それをつなげて、完成させました。やらせではなく粘って粘って撮ったのです。ドキュメンタリーの手法の、良い瞬間を待つ、というやり方で撮りました。子供の動きも私が思いもしなかった、計画していなかったものがどんどん出てきたので満足しています。
*パルムドッグ賞
カンヌ映画祭[世界3大映画祭のひとつ]には、犬の演技によって受賞作が選ばれるパルムドッグ賞(The
Palm Dog Awards)がある。これはカンヌ映画祭の最高賞パルムドール賞(Palme d'Or award)をもじったもの。本作のツォーホルは、飼い犬を家に残してきた審査員達に、「自分の犬を思い出させる」という理由で堂々の受賞を飾った。
■モンゴルの自然は雄大で美しいですが、撮影中のエピソードなど
----ドイツとモンゴルの2つの文化の違いに対応できる人を集めました。結果として、遊牧民の一家、スタッフを含めてみんなで大家族になれたように思います。人というのは自然の一部で、自然と共存して生きることこそ重要だと思う。遊牧民のところに行って彼らの生活を撮るということにおいても、彼らと同じ生活をするだけであって、特に苦労はありませんでした。
■昨今の日本での力士、ジンギスカンなどのモンゴルブームについて
----朝青龍関を知らないモンゴル人はいません。モンゴルは今、日本だけでなくヨーロッパでも理想像として注目を浴びています。現代人は自然と共存するというより、むしろ逆らう生き方をしています。モンゴルへの憧れは、かつては自然の中で暮らしていたという、ある種の郷愁によるものかもしれません。昔ながらの遊牧民の生活や、自然と共存する生き方が、今また見直されるべきだと思います。
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『天空の草原のナンサ』
[The Cave of the Yellow Dog]
<<6歳になる娘ナンサは、お手伝いの途中で寄り道をして、ほら穴で一匹の子犬ツォーホルを見つけます。父親に反対されても、隠れてツォーホルを飼うナンサ。放牧に出かけたある日、ナンサとツォーホルは一人のおばあさんと出会います。そこでおばあさんは「黄色い犬の伝説」をナンサに語り聞かせ、その話にナンサは引き込まれていきます。>>
2005年12月23日[金・祝]~日比谷シャンテシネほか全国順次ロードショー
2005年/ドイツ/1時間33分/東芝エンタテインメント配給
公式サイト:http://www.tenku-nansaa.com/ |
「黄色い犬の伝説」ってどんなお話?
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