文章:田中 徹夫(All About「Soul・R&B・HIP-HOP」旧ガイド)
(26)[ JUNGLE BROTHERS ]
≪アフロセントリシティ(アフリカ回帰思想)=アフリカにルーツを持つアメリカ居住の黒人達がその原点となるアフリカ的考え方やライフ・スタイルを重んじて彼らの原点に帰ろうではないか、とした思想及び社会活動≫
1980年後期から90年代初期に巻き起こったニュー・ジェネレーション・アーティスト達によるニュー・スタイル・ヒップホップを提唱する<ニュー・スクール>ムーヴメント。
その一つの特徴は、以前にも述べたところではあるが、固定化されていた既存のフォーマットを全て打ち壊し「ヒップホップとは本来自由な創造性の元に作られる音楽、そしてまたカルチャーである」というイデオロギーの元再構築された、カタチに捕われないバラエティーなるスタンスにあった。
そしてもう一つの特徴としてクローズ・アップされたのが、上記の<アフロセントリック>な哲学を持つことにあった。
そうしたフィロソフィーを持つアーティスト達は、アフリカの民族衣装を身に付けアフリカ大陸を形取った‘メダリオン’という首飾りを首に掛け、アフリカ土着のビートを好んで多用し、アフリカ回帰への提案をリリックスに織り込んだ。
と、まあこれがニュースクール・ムーヴメントの特徴であった訳ですが、殊にその後者<アフロセントリック>をこれ見よがしに主張したのがこのジャングル・ブラザーズ(通称JBEEZ)だったのです。
それはアルバム・ジャケットを見て頂くと一目瞭然、ジャングルにライオン、メダリオンに民族衣装...これぞとばかりにアフリカ一色、ここまで徹底すれば立派なもの。
ただそれらはカッコばかりではなく、彼らが奏でたサウンドはその哲学に順順な程、自由で、奇抜で、明るくて、ダンサブルで、オープンで、まさに自由気ままに大地を走り抜けるアフリカンのよう...。
これ程までに屈託の無いダンス・ビートを聴かされた日にゃ、彼らに無言で着いて行かざる得ない。このオープン・マインドなスタンスがこうしたニュースクール・ムーヴメントを拡大/発展させた大きな要因でしょう。
そんな彼らも時代と共に進化し、97年の
『RAW DELUXE』では過去のサウンドに決別を図るべくビッグ・ビート等にもトライしてましたが。それはそれでJBEEZだから許しましょうとファンも好意的でしたが。
現在ブラッカリシャスやジュラシック5などアフリカ的ニュアンスを持つオーセンティック・ヒップホップの元祖は実は彼らなんです...なんて事を知っていても損はないでしょう。
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『DONE BY THE FORCE OF NATURE』 ='89年作品。ジャケットからしてアフリカンな趣が色濃く浮かぶダンサブルなサウンド満載の逸品。注目はATCQ、デ・ラ・ソウル、モニー・ラヴ等ネイティブタン・ポッセが総出演する“Doin' Our Own Dang”。当時の勢いとアーティスト達各々が自由気ままに楽しんでいる姿が克明に刻まれている。この一曲だけでも一聴の価値あり。