ヘイリーの生の歌声の素晴らしさ
そんなヘイリーがこの11月に来日し、北海道から九州まで全国各地で公演を行なった。今回は幸運にも東京オペラシティでの公演を見ることができた。実際に耳にすることができたヘイリーの生の歌声は、想像をはるかに超えた素晴らしさだった。
CDではいくらすごいといっても、生で歌えばそこそこ、というシンガーはいくらでもいる。それにヘイリーはまだ二十歳の若さ。どれほどのものか、まぁ見てやろうじゃないか。そんな気持ちは、ヘイリーが歌い始めたとたんに吹っ飛んでしまった。まさに圧倒されんばかり。美しく澄んだ歌声はCDやCMで聴けるとおり。優しくてとてもあたたかい。それでいて、その中に凛とした強さが感じられるのも素晴らしい。
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| ニュージーランドの伝統を重んじていたヘイリー |
選曲もよかった。オープニングは「ポカレカレ・アナ」。これはニュージーランドの先住民・マオリの伝承歌だ。ニュージーランドの人はマオリの文化を大切にしていることは知られているが、最初にこの曲を歌うことで、ヘイリーも祖国やその文化を誇りに思っていることがよく伝わってきた。そして「アヴェ・マリア」やアイルランド民謡の「ザ・ウォーター・イズ・ワイド」と伝統的な曲を次々に披露。前半のハイライトは、サイモン&ガーファンクルで有名な「スカボロー・フェア」(これも元はイギリスの伝統曲)、さらに日本の名曲「涙そうそう」だ。「涙そうそう」は英語バージョンだったが、ヘイリーの優しいが凛とした歌声で歌うことで、この曲の別の魅力が見えたような気がした。後半も、クラシックやマオリの歌を織り交ぜながら進み、最後はもちろん「アメイジング・グレイス」。数多くのアーティストが取り上げた歌だが、ヘイリーの生の歌で聴くと、とても気高く、神々しささえ感じられるところが本当にすごい。
東京オペラシティのコンサートホールは、普段はクラシックの演奏が行なわれているところだ。PAも最小限で、伴奏もピアノとバイオリンのみというシンプルを極めたスタイル。ヘイリーの生の歌声をそのままダイレクトに伝えるには最適のスタイルといえるだろう。塔の内側のように高い天井を持つこのホールに、ヘイリーの歌声が心地よく響き渡っていた。
歌っているときはとても二十歳とは思えない堂々とした雰囲気のヘイリーだが、歌の合間にちょっとはにかみながらしゃべったり、ステージに登場するときに客席に向かって手を振るときの笑顔は、まぎれもなく二十歳の女の子。まるでアイドルのような愛くるしさ、そして大ベテランのような貫禄を併せ持った不思議な雰囲気も、彼女の大きな魅力なのだろう。
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