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70年代名盤レビュー『オペラ座の夜』

ロックの歴史に残る名盤を紹介する名盤レビュー。今回は75年に発表され、独自のドラマチックな世界で今なお売れ続けているクイーンの『オペラ座の夜』の魅力を紹介。

執筆者:田澤 仁

ロックが誕生してから50年あまり。その間発表された作品の中には、名盤と呼ばれるものも数多く存在する。その中から、今回はクイーンの『オペラ座の夜』を紹介しよう。最近はミュージカルでも話題を呼んでいるクイーン、その中でもあまりに有名なアルバムだけれど、改めて聴き直すと新たな魅力が発見できるはずだ。

ドラマチックで感動的な傑作

「オペラ座の夜」
完璧なクイーンサウンドの詰まった『オペラ座の夜』。ジャケットはメンバー全員の星座をモチーフにデザインされている
70年代にイギリスでデビューするや、「貴公子」と呼ばれたほどの端正なルックスから日本の女の子たちがいち早く目をつけたクイーン。デビュー直後こそ本国イギリスでは酷評されていたものの、その後はロックの歴史に残る世界的なバンドにまで成長したのはご存知の通り。そして、その人気を決定的なものにしたのが4枚目のアルバム『オペラ座の夜』だ。

このアルバムが発表されたのは75年。前年にリリースした前作『シアー・ハート・アタック』からは、『キラー・クイーン』などのヒットナンバーが生まれていて、クイーンの人気がじわじわと高まってきた時期だった。そこにこの傑作といわれるアルバムが発表されたのだから、世界的に人気が爆発するのも当然と言える。ロックにポップスやクラシック、オペラなどの要素を融合させ、クイーンサウンドとしか呼べないような唯一無二の世界を完成させたのがこのアルバムだ。

このアルバムの素晴らしさは、バラエティに富んだ楽曲が豊富に収録されていること。バラエティに富んでいると、まとまりがない構成になってしまいがちだが、起承転結を感じさせる展開のため、まるで雑多な雰囲気は微塵も感じられない。それどころか、逆に全体的にとてもまとまりが感じられるところがすごい。それぞれの曲のクオリティが高いことに加え、その内容も並べ方も、アルバム全体を見通した作りになっているからなのだろう。まるでオペラのようなドラマチックな展開は、まさにタイトルの通りだ。

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