DTM・デジタルレコーディング/オーディオインターフェイス

ASIOドライバとは/テクニカル用語

カタログのスペックなどを見ているとよく見かけるASIO。これはアジオと読むもので、ドライバの種類なのですが、具体的にはどんなもので、どんな特徴・メリットがあるのでしょうか。今回はこのASIOドライバについてわかりやすく解説します。

藤本 健

執筆者:藤本 健

DTM・デジタルレコーディングガイド

ASIOドライバって?

DTM・デジタルレコーディング関連の雑誌やWebを見ていて、よく目にするASIOとかASIOドライバという言葉。これは一体何モノなのでしょうか?
 このASIOというのは「アジオ」と読むのですが、正確には
Audio Stream Input Output
の略で、オーディオドライバの規格なのです。ドライバなどといわれると難しそうな話にも思えますが、単純に規格の名前だと思ってもらったほうが分かりやすいかもしれません。
   ASIOドライバというのは、CubaseSXやCubaseVST、WaveLabなどを開発するSteinbergというドイツのソフトメーカーが生み出したオーディオのドライバのことで、非常に性能がいいということで、DTMやデジタルレコーディングの世界において急速に広がり、すでにデファクトスタンダードになっているものです。
 また、このASIOドライバは、WindowsにもMacintosh用にも存在しているという、ちょっと珍しいドライバとなっており、どちらのプラットフォームにおいてもハイエンドのサウンドツール用ドライバとして普及しています。


 

Windowsにおけるドライバ

 普段あまり、ドライバの規格など考えたことはないと思いますが、簡単に整理しておきましょう。まずWindowsに関することからです。Windowsでは従来よりMMEドライバ、DirectSoundドライバという2つが存在していました。
 MMEドライバというのは、Windowsのごく標準のドライバを指しており、コントロールパネルのマルチメディアを開いて扱える通常のオーディオドライバのことを意味しています。このMMEというのはMultiMediaExtentionの略であり、もうあまり聞かなくなりましたが元々はWindows3.0時代にWindowsの拡張用として登場したマイクロソフトの規格なのです。
 またDirectSoundドライバはその後に登場したDirectXという一連の技術の中のDirectSoundに対応しているドライバです。さらに、現在のWindowsではWDMドライバというものも登場しており、ちょっと複雑な状況にあります。
 

Macintoshにおけるドライバ

 では一方のMacintoshはというと、これまでSound Managerというものが標準的なドライバとして用いられてきました。これはWindowsでいうMMEやDirectSoundに相当するものと考えてもいいでしょう。しかし、OS XになりCoreAudioという新しいドライバが登場しています。
 

ASIOドライバは広く普及している

ずいぶん色々なキーワードが飛び出してしまいましたが、Windowsの世界でもMacintoshの世界でも、これらのドライバを押しのけて、広く普及しているのがASIOドライバなのです。ただし、Mac OS Xにおいては、2002年11月の段階でASIOドライバは登場していません。またCoreAudioがASIOドライバと同程度の性能を持っているだけに、今後ASIOドライバが登場するのかが注目されているところです。
 そうした背景は分かったとして、そもそもASIOドライバとはどんなメリットがあるのでしょうか?
 

ASIOドライバのメリットとは

 このドライバがWindowsにおけるMMEやDirectSound、MacintoshにおけるSound Managerと比較していいと言われる理由はいくつかあります。その第1のメリットとして上げられるのは低いレイテンシーを実現できるということ。これは、コンピュータが音を出そうとしてから、実際に音が出るまでの時間のことで、小さければ小さいほどいいというものです。ドライバにもよりますがMMEで100~200msec、DirectXで50~100msec、Sound Mangerで20~50msecであるのに対し、ASIOなら普通10msec以下、場合によっては1msec以下にまで設定することができるのです。
 なぜ、レイテンシーが低いといいかというと、一番分かりやすい例が、ソフトシンセを外部のMIDIキーボードで演奏した際の発音の仕方です。もしレイテンシーが大きいとキーボードを弾いてから音がでるまでに時間差があり、非常に違和感を感じるとともに、演奏がしづらくなります。それに対し、レイテンシーが小さければ、弾いた瞬間に音が出て気持ちよく演奏できるのです。これは非常に大きなポイントですよね。
 こうしたレイテンシーについては、ドライバで設定できるようになっているので、デフォルトのまま使うのではなく、各自ここを調整し、最適なレイテンシーになるようにします。




2つ目のメリットは複数のポートを同時に扱うことができるということ。これにより、同時に8chの出力をバラバラに出すといったことも可能になるのです。外部にエフェクターを接続して利用するといった場合には非常に便利になりますよね。
 3つ目のメリットは24bit/96kHzといったハイクォリティーサウンドが簡単に扱えるということでしょう。これもASIOドライバさえインストールしてしまえばOKです。
 ただし、ASIOドライバでどこまでの性能を発揮できるかは、使い方およびドライバの設定の問題です。デフォルトでは、結構大きいレイテンシーがあっても、うまく設定することで、かなり利用価値の構成となってくるので、ぜひ試してみるといいでしょう。
 

ASIOドライバ関連のあれこれ

 現在、ASIOが利用できるアプリケーションは本当にいろいろあります。オーディオレコーディング関連のソフトでは、前述のCubaseSXやCubaseVSTまた、下のレベルのCubasisVSTやCubaseの上に位置付けられるNUENDOなど、Steinberg製品が対応しているのはもちろんのこと、EmagicのLogicAudio、ヤマハのSOL、インターネットのSinger Song Writerなど、いろいろです。また、PropellerheadのREASONやNative InstrumentsのPro-53やFM-7、SteinbergのHALionなどなど各種ソフトシンセも直接ASIOドライバをサポートしています。
 またASIOドライバに対応したオーディオインターフェイスも数多く発売されています。確かに数千円で売られているサウンドカードでは対応していませんが、レコーディング用のものであれば、PCIカードタイプのもの、USB接続のものを含め、ほとんどのものが対応しているといってもいいでしょう。
 なお、このASIOにはASIO 1.0とASIO 2.0というものがあります。当然2.0のほうが、新しい規格であり、性能も上となっていますが、それほど大きな違いがわるわけではありません。最大の違いはダイレクトモニタリングというものに対応しているか否かです。これは入力した信号をそのまま出力するというものであり、コンピュータを通さずにモニタするのでレイテンシーもゼロとなっています。



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