ディープな挑戦に衝撃は起きたか
秋のG1開幕初戦、スプリンターズステークスでテイクオーバーターゲットがグローバルスタンダードな強さを見せつけた約9時間後、フランスのロンシャン競馬場で凱旋門賞のスタートが切られた。日本代表はもちろんディープインパクトだ。
Photo:(C)Horses.JP(注)凱旋門賞の写真ではありません2番枠から絶好のスタートを切ったディープインパクトはかかる素振りも見せずに2番手を堂々と追走していく。ん、2番手?・・そんなに前につけて走ってるとこは見たことがないぞという思いがよぎるも、武騎手の想定内だろうと自分に言い聞かせる。出た感じでそれなりにレースを進めるのはいつも通りのはずだ。予想どおり少頭数のスローな流れとなり縦長ではなく欧州競馬らしい団子状態で隊列は進み続けていく。途中で我慢しきれなくなったかシロッコが交していき3番手に下がったディープインパクトだが、それほどリズムを狂わせることなく落ち着いているように見えた。坂を上り坂を下り偽りの坂と称せられるフォルスストレートでもじっくり構えている。最後の直線、ここから世界最強馬との死闘が繰り広げられるはずだ。ラスト400を過ぎ武騎手のゴーサイン、答えるようにディープインパクトはスパートをかけた。中継の音声が拾った「まだまだ」と叫んでいる岡部さんの声は届くはずもない。3歳馬レイルリンクとの叩き合いとなり一度は差し返して先頭に躍り出るシーンもあったが、最後は脚があがったか、力尽きたかのように6歳牝馬プライドにも交され、日本代表ディープインパクトは3着に終った。
■凱旋門賞 全着順
1着 レイルリンク 牡3 仏 S.パスキエ
2着 プライド 牝6 仏 C.ルメール
3着 ディープインパクト 牡4 日 武豊
4着 ハリケーンラン 牡4 仏 K.ファロン
5着 ベストネーム 牡3 仏 O.ペリエ
6着 アイリッシュウェルズ 牡3 仏 D.ブフ
7着 シックスティーズアイコン 牡3 英 L.デットーリ
8着 シロッコ 牡5 仏 C.スミヨン■武豊騎手コメント(日記より抜粋)
最後の競り合いの場面、いつものディープインパクトなら、あそこからもう1枚の超トップギアが出てきて突き放していたはずですが、今日はそれがありませんでした。馬場や展開は思っていた通りでしたし、ディープの力を100%引き出せていたら、決して負けることはなかったと思うのです。本当に悔しいです。勝ちたかったです。・・いちばん悔しかったのは武騎手であることは間違いない。
敗因としてはいろいろ考えられるだろう。斤量差、展開、初先行策、今後の糧となるように分析するのはいいかもしれない。しかし、まずはディープインパクトと武騎手および関係者一同にお疲れ様を言おう。例のごとく勝つのは当然みたいな祭り上げをしていた日本のマスコミ、大挙してフランスに乗り込んだニッポン人の応援団、ここぞとばかりにディープインパクト一色になってたNHK、いろんなプレッシャーはかなりのものではなかったかと想像される。そんな中、超トップギアまでいけなくとも正々堂々と世界に挑んだ姿は立派の一言に尽きるし、フランスのマスコミは「ディープインパクトはフランス人が忘れかけていた競馬への情熱を思い出させてくれた」と賞賛したそうだ。そういう意味では価値ある遠征だったといえる。ほんとにお疲れ様。
では、ちょこっとだけ私的な意見というか感想みたいなもの。
マイルやスプリントの部門では海外G1を制した日本馬もいるし、たぶん凱旋門賞も後一歩で手の届くとこまで来ていたと思われるだけに、今回の負けが悔しいし残念なのは競馬ファン誰もが一緒である。基本的にヨーロッパと日本では競馬の質も馬場も違うといわれるし、そこにアウェイで戦う難しさみたいなものはあるだろうが、それはジャパンカップに来日する海外チームも条件は同じはず。気持ちを入れ直し改めてもう一度・・というのは簡単ではあるけれど、あのディープインパクト“でも”勝てなかった事実はけっこー重いものとして残るかもしれない・・やっぱし勝ってほしかったかなあ。