ビデ倫、心交社問題で変化が見える「基準」
8月末の「ビデ倫家宅捜索」、10月の「女子高生出演のポルノDVD製造で心交社逮捕」と、この数ヶ月で立て続けに「映像についての規制」を揺るがされる事件が起こりました。まず前者については当ガイド記事
『ビデ倫家宅捜索!その裏を読む』でも書きましたが、AVの誕生以来最も歴史もあり、信頼される倫理機関と認知されていたビデ倫だけに、業界全体に与えた衝撃は少なくありませんでした。
心交社逮捕は、今年2月に当時17歳だった板橋区内の女子高校生が出演したバリ島撮影のDVDが児童買春・ポルノ禁止法違反とされたもの。制作者4人が逮捕されました。全裸シーンがない映像を児童ポルノとして認定したのは全国初です。近年アンダー18の着エロが人気を高めており、中にはアンダー15でTバックというのも珍しくないほどブームは加熱していました。その反面で週刊誌などで叩かれることも増え始めていただけに、もはや誰が先に捕まるかを競うチキンレース状態だった感もあります。
しかし制作者もユーザーも「18歳未満は胸と性器を出さなければOK」という暗黙の了解をどこか信じていたのも事実。それが崩れたことは驚きでもありました。今回問題となったDVDは児童買春、児童ポルノ法の定義における「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」ということになるのでしょう。
しかし、性器が「見えた/見えてない」という基準を比較的示しやすいものであるのに対し、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」というものは「あり/なし」が非常に判別しにくいもの。AVでいえばフェチAVなんかが典型的な例で、「ただブーツを履いた女の足を映してる映像」が「退屈な映像」なのか「興奮させる映像」なのかは人それぞれ。それだけに18歳未満でも性器と乳首の「ある/なし」が「アイドルイメージ映像」か「ポルノ」か、を判別する基準になっていたところがあります。それに調子に乗りすぎた結果が今回の逮捕ということになるのでしょう。
アンダー18の着エロの過激化は凄まじいレベルだっただけに、いつか来る日だったのは間違いない。しかし「エロとは何か?」という非常に曖昧な部分をお上が規定してしまうという部分に心配を隠せません。ビデ倫家宅捜索という事件が起きた直後だけに。専門家でもない誰かが「これはエロ過ぎるんじゃない?」「これは大丈夫」と感性だけでコントロールする世の中で大丈夫なのか?これからは各倫理団体がプロフェッショナルとしてしっかりした基準を示すだけでなく、その活動を世間にアピールする必要があるのかもしれません。
ただこのふたつの事件を取り扱うのが心交社は少年育成課、ビデ倫は保安課と担当が違うので、全体の規制問題には発展しなさそうですが。近年DVDだけでなく、ゲーム・同人誌など他のジャンルでもわいせつ・残虐さなどが問題に上がることが増えているだけに、「理解できないから少数派は排除する」といった傾向が正当化されていくムードの変化が気になります。
「18歳未満は性器と乳首さえ出さなければポルノじゃないよ」というタテマエ。でも全ての人が「いやマズイんじゃない?」とホンネは思っていたでしょう。個人的には子供の出演にOKを出していた親のホンネを聞いてみたいものです。こういう事件は「出演させた側の責任」が悪者としてまつり上げられるもの。もちろん心交社にも問題はあるでしょうが、「守るべき責任を放棄した側」の責任はどうなるんでしょう?
じゃあAVはどうなんだ?という問いには「18歳以上はオトナだからいいの!」という答えがたぶん正解。ホンネかタテマエかは皆で考えて!