ドラマにおける母親像の変遷をたどるこの記事、あるスペシャル番組の企画として依頼されてまとめたのですが、残念ながらその企画はつぶれてしまいました。しかしボツにするのはもったいないので、記事として発表したいと思います。
頼れるオフクロ
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60年代までのホームドラマは『七人の孫』(1964~1966)や『ただいま11人』(1964~67)など大家族ものがヒットしていて、そこでの中心は森繁久彌や山村聰といった「オヤジ」でした。
ホームドラマの中心から「オヤジ」から「オフクロ」に変わるのはそのふくよかな体が最大の魅力である京塚昌子主演の『肝っ玉かあさん』(1968~72)からです。その後、森光子主演の『時間ですよ』(1970~73)、主演は水前寺清子だけど山岡久乃がおさえていた『ありがとう』(1970~75)など母親中心のドラマが大ヒットします。
「オヤジ」では大家族でしたが「オフクロ」中心になると家族構成は核家族化しています。『肝っ玉かあさん』は女手ひとつで蕎麦屋をやりつつ二人の子どもを育て、『時間ですよ』も夫(船越英二)が頼りにならないため銭湯を中心になって切り盛り。『ありがとう』は母娘二人暮らし。父親の存在感が薄れる中「頼れるオフクロさん」の時代でした。
ちなみに川内康範作詞の『おふくろさん』は71年のレコード大賞最優秀歌唱賞受賞でした。
悩めるお母さん
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70年前後が高度経済成長のピークだったのに対し、オイルショックによる景気停滞など社会不安が大きくなった70年代後半は、解決できない問題が多くなり、母親も悩みがちです。
『時間ですよ』に続く久世光彦演出の『寺内貫太郎一家』(1974~75)は長女(梶芽衣子)が貫太郎が原因の事故のため子どもの時から足が不自由なことが暗い影を落とし、加藤治子が悩んでいます。池内淳子主演の『ひまわりの詩』(1975~78)などの「ひまわりシリーズ」では池内淳子が血の繋がらない息子(三浦友和)との関係に悩みます。そして八千草薫主演の『岸辺のアルバム』までいくと家族バラバラで崩壊寸前となってしまいます。
ちなみに『薔薇のない花屋』で池内淳子と三浦友和が久々に共演しているのを見ると「そうか、この父娘(香取慎吾・八木優希)は血がつながってないのか」とわかりました。