文章:飯野 耀子(All About「食育」旧ガイド)
世界に愛される日本食材
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| 名誉顧問のフェラン・アドリア氏とジョエル・ロブション氏のツーショット! |
2009年2月9日、日本初の試み「世界料理サミット」が東京国際フォーラムで開幕しました。チケットのあまりの売れ行きに最後の頃は毎日200~250件ものチケット購入の希望を断らなければならなかったというほど人気のイベント。
今回各シェフ達には「できれば日本の食材を何か使ってください」という依頼を事前に事務局からしてあったそうです。が、それ以前に各国のシェフ達は既に日本の食材をそれぞれの料理に取り入れていることが見受けられました。
中でも「Umami」ということで既に英語、フランス語にもなりつつある「旨味」のもとである昆布は「Seaweed」「Kelp」ではなくて「Konbu」と呼ばれる存在。中には「Nekonbu」と種類別まで日本語で発音しているシェフなどもいて昆布は醤油同様に国際的な地位を得た日本食材なのだなぁということを実感。
またことのほか多くのシェフが使用しているのが山椒。中には苗を持ち帰り自家菜園で育てているシェフなどもいたほど。その他にもシソやわさび、柚子もすでに多くのシェフによって使われていますし、豆腐や湯葉にいたってはみなさんホームメイドされていることに嬉しさを感じると共に少々複雑な思いが残りました。
もっと「日本」を見直す
今回のサミットを通してなぜ私が複雑な思いを抱いたか?それは日本人が自国の持つ素晴らしい文化に対して「その価値を過小評価」しているのではないか?ということです。最近は食育や味覚教育に価値を見出し、昆布やかつおぶしでダシを取るご家庭が増えてきましたが、一時は「日本人が本当の味覚を失ってしまう」と懸念されたほどダシを取るご家庭が減っていたことも事実です。
世界でもっとも予約の取れないレストランであるエルブリのフェラン・アドリア氏はかつて「柚子」の魅力を知り、エルブリのお料理に使ったところ世界中のシェフが競って柚子を使い、一時日本で柚子が不足してしまったことがあります。またしいたけなどのキノコ類(今回のデモンストレーションでもアメリカのグラント・アケッツ氏は舞茸を使用)も最近では海外の名シェフ達に愛される日本の味覚。私たちにとって当たり前の食材が海外のシェフにとっては「日出る国から来た素晴らしい食材」として映り、私達が評価するよりも高くグローバルに評価されているわけです。
今回、デモンストレーションブースのお隣には展示ブースというのが設置されており、川俣シャモや鮎魚醤など日本の味のブースもたくさん出展されていたのですが、各国の名シェフ達がのきなみそれらの食材を試食し、自国に持ち帰ったそう。近い将来、これらの中から新たにグローバルスタンダードになる日本の食材が生まれそうな感じです。(因みにエルブリでは納豆のテクスチャーをデザートにできないかと現在、試作中とか)
この現象はもちろん海外の食材に対する日本人の感覚の中にもあります。かつてまだ日本がこんなに飽食の時代ではなかったころ、フランスからくるブレス産の鶏やフォアグラ、トリュフにキャビアといった食材はとても高価(いまでも十分高価ですが……)で貴重なものでした。が、私達の目にそれらの食材が輝いて映ったように海外の人々には普段日本人が普通に食べている食材が輝いて映っているのだということをぜひ子供たちに話してあげてください。そして子供たちが自分の国を誇りに思いながら食事ができ、大人になっていけるように育ててあげてもらいたいと思います。