文章:河崎 環(All About「子育て事情」旧ガイド)
教育バウチャー制と学校選択制が採用されると、子どもの学校選びは大きく変わる!その時、親はどう備えるべきか? 「格差社会」の学校選びの心構えを、自民党横浜市連青年局次長、山下正人さんにうかがいました。 前編は
こちらからどうぞ。
バウチャー制と学校選択制は、二つで一つ
 |
| 今回、取材に応じていただいた山下正人氏。丁寧にお答え頂き、安倍政権の教育改革の概要がよく理解できました |
ガイド河崎(以下、ガイド):教育再生会議の大きな検討課題として、他に「教育バウチャー(利用券)制」や「学校選択制」などがありますね。これは、どういう制度ですか?
自民党横浜市連青年局次長 山下正人氏(以下、山下氏):「教育バウチャー制」と「学校選択制」は、二つで一つとして議論されるでしょう。行政が利用券を生徒に支給し、生徒はそれを自分の選んだ学校に渡して授業を受けます。つまり、学校は私立公立問わず、生徒数に応じて予算の配分を受けることができるわけですね。子どもが私学を選べば、その子のバウチャーは私学へ渡るわけですから、私学の授業料は下がることになる。というか、下がらなくちゃいけない。授業料の高い低いで学校選びが制限されにくくなるので、子どもの学校選びの幅が広がります。「選択される学校」「選択されない学校」という格差ができれば、どこも学校の質の向上を迫られ、「選ばれる学校へ」という努力をするようになるでしょう。
ガイド:地方のように、学校の絶対数が少ないところでは、遠方の学校へは物理的に通うのが難しいということで、結果的に一つの学校しか選べないというところもありませんか?
山下氏:その通りです。学校選択制は、地方や、特に過疎地では機能しません。しかし、地方教育はむしろ崩れていないのです。学校間格差は都市部での問題。だからこそ、質の向上を図らなければなりません。
「格差社会」の教育のあり方
ガイド:先ほどの授業料の話になりますが、「格差社会」議論のかまびすしい昨今、親の経済力格差が子どもの教育格差になると警鐘が鳴らされています。いい教育を受けるためには、お金がかかるのが当たり前になってしまうと言われていますが、山下さんはいかがお考えですか?
山下氏:東大入学者の親の平均年収が一番高い、などという報道ですね。学力だけを見たら、そうかもしれません。特に首都圏では、学力だけを求めるなら私立進学校を選ぶ傾向があるでしょう。でも、人間を総合力で見たときに「いい教育=お金のかかる教育」であってはならないと考えています。子どもには、それぞれいろいろな特徴を持った子どもがいます。学力の高い子どももいれば、芸術に秀でた子ども、スポーツに秀でた子どももいる。親もまた、学力だけが全てと思う親ばかりではなく、徳育教育を望む親もいます。
ガイド:そうですね。格差社会の話では、いつも「よい教育」とは結果的に「東大に入れる教育」であるという前提があるような気がします。それには違和感がありますね。
山下氏:人間の価値観が数値化されてしまったところが、間違いの始まりだったとも言えます。「偏差値の高い学校に行くほうがえらい」と子どもたちも刷り込まれていますから。「食うに困る」ことのなくなった社会ではもともと豊かさの中でさらに豊かさを追求し、エスカレートさせるしかないわけです。豊かさの上に豊かさを重ねていける、というのは親たちの妄想ですよ。
ガイド:他との差別化をするためには、その「差」が数字で見えたほうがわかりやすいわけですよね。いきおい、数字になりやすい学力に偏重するわけですね。
山下氏: 学力だけを上げたいのなら、詰め込めばいいんですよ。でも、教育ってそうじゃないでしょう。私が活動している横浜北部は、率直に言って住民の平均年収も高い、大変な文教地区です。でもその陰で、不登校や校内暴力、いじめなども実は相当数ある。表沙汰にならないだけのことです。不登校、ひきこもり、問題児童……。学校を退学になっても親は経済力がありますから、転校させたり「海外留学」させたり、どうにでも隠せてしまうんですよ。
ガイド:子どもの問題を「経済力」で隠せてしまうのは、本当に幸せなんでしょうか。疑問ですね。「格差社会」の議論に違和感があるのは、そういう単純化された社会のヒエラルキーに表れない問題を無視しているからなのかもしれません。
山下氏:「収入が高ければ学力が高い」のではなく、「意識が高い」であるべきなんです。勉強ができるような環境を用意しているとか、精神的なゆとりをもっているとか。
>>子どもの学校選択、親の心構えとは?>>