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マーサ・スチュワートが実刑に服すると表明。 マーサ、カリスマ主婦の凋落

米国の「カリスマ主婦」マーサ・スチュワートが、5ヶ月の禁固刑に服するという声明を発表し、話題を呼んでいます。その背景にはどのような事情・経緯があったのでしょうか。

河崎 環

執筆者:河崎 環

子育てガイド




米国の「カリスマ主婦」マーサ・スチュワートが、
7月に判決を受けた5ヶ月の禁固刑に服するという
声明を発表し、話題を呼んでいます。
その背景にはどのような事情・経緯があったのでしょうか。




カリスマ主婦に実刑判決


2004年7月16日、米国の「カリスマ主婦」マーサ・スチュワートに、2001年の株インサイダー取引の罪で禁固5ヶ月、罰金3万ドル、自宅謹慎5ヶ月という判決が下されました。

マーサ・スチュワート・リビング
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~『Martha Stewart Living』に掲載された、家事全般の
ちょっと素敵なアイデアを網羅。マーサ入門書~
いわゆる「カリスマ主婦」のはしりとされ、アメリカの中流家庭に衣食住の多方面から豊かなライフスタイルを提供してきた、マーサ・スチュワート。「家事は芸術」をモットーに、インスピレーションと創造力に溢れた「ホームメーカー(『主婦』)」としてのセルフイメージを前面に押し出す一方で、成功したワーキングマザーのはしり、そして全米を代表するような敏腕ビジネスウーマンとしても知られています。自らのブランド「マーサ・スチュワート・リビング」は、雑誌・TV番組・インターネットのメディアミックス戦略が功を奏して国内外で大成功を収め、ネット通販やスーパーマーケットチェーンでの商品販売も爆発的な売れ行きを示しました。ブランド名をそのまま冠した彼女の会社の株は上場後高値をマークし、彼女の成功は不動のものと広く認知されていました。(詳しくは『マーサ・ステュワートの魅力』

「どうして『主婦(homemaker)』がそんなに金持ちになれるんだ?」などと、米国内では揶揄されるほどの成功と人気ぶり。しかし、2001年12月、マーサ自身による医療関係株のインサイダー取引疑惑で、巨大な「マーサ・スチュワート帝国」に、突然大きな影がさします。

捜査が進むにつれ、「マーサ・スチュワート・リビング」事業も大きな打撃を受けました。マーサホリック(マーサ中毒)とも呼ばれた、彼女のライフスタイルに憧れ実践する主婦層が徐々に離れ、かつての熱狂は見られなくなりました。米国では庶民的なスーパーマーケットチェーンとされるKマートで販売され、日本にも上陸してSEIYU各店で販売された日曜品ブランド「マーサ・スチュワート・エブリデイ」(詳しくは「マーサ・グッズ、遂に日本上陸。」)などの事業も伸び悩み、雑誌の広告収入は激減。(日本では彼女のTV番組も打ち切りに。)株価は捜査の進展に合わせるかのように乱降下し、減益が報じられました。


あのマーサが刑務所に?



マーサ・スチュワート オーガナイジング
マーサ・スチュワート
Good Things for Organizing
~『Martha Stewart Living』に掲載された、マーサ流・整理整頓術~
2年半に及ぶ捜査と訴追の結果、マーサに告げられたのは、5ヶ月の禁固刑と、マーサの財力には痛くも痒くもない3万ドルの罰金。これは現行の連邦法上最低限のレベルで、この判決には「マーサがすでに社会的制裁を受けた」とする判事の意図が感じられると言われましたが、世論ではこの判決は甘いとする見方が優勢でした。しかし、刑期が短いとはいえ「優雅で上品」なマーサのイメージに、刑務所はあまりにも似合いません。

判決後、彼女には2つの選択肢があるとされていました。

・上訴し、判決が出るまでの間(2年程度)服役を延ばす
・上訴する一方で、服役する


7月末の判決当時は、マーサは上訴し、実刑にも服さない方針をとると考えられていましたが、9月に入って一転、マーサは「上訴をする一方で、5ヶ月の禁固に服する」という声明を発表しました。

判決直後にマーサが「みなさん、私の会社の雑誌を購読し、製品を買ってください」と発言したり、彼女自身とネルソン・マンデラ(アパルトヘイトへの抗議で27年服役、ノーベル平和賞受賞はあまりにも有名ですね)を重ねるかのように語ったことで、世論では彼女への反感が拡大、事業は悪い方向へと進むばかり。そのイメージをクリーンにするためにも、ここで戦略として服役を選択したと言われています。

全米で報じられた、「『カリスマ主婦』の凋落(ちょうらく)」。しかし強靭な精神力を持つマーサは、CNNのラリー・キングのインタビュー番組で「この体験をもとに本を書く」と発言するなど、復活への意欲は決して損なわれていません。子育てや主婦経験と自らのビジネスを絶妙にマッチさせ、大成功させた敏腕ビジネスパーソンとして高い評価を獲得してきたマーサ。彼女の今回の戦略で、マーサ帝国の復活はなるでしょうか。今後への興味が尽きません。

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