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「男らしい」って何だろう? 男の子の発達心理学

「男の子を育てるのは難しい」。それは、男の子が母親にとって異性だから。「男らしく」と育てることが、彼らを追いつめ、暴力で爆発させてしまうことにもなりかねません。日米の専門家の意見をご紹介します。

河崎 環

執筆者:河崎 環

子育てガイド


《INDEX》

Page1 「男らしさ」を教える米国文化/日本の「いい男」は中性的

Page2 「男らしさ」はプレッシャー?いじめの構造

Page3 米国のある事実

Page4 「男らしく」が虐待へ追い込む



「男の子を育てるのは難しい」。それは、男の子が母親にとって異性であり、
また、思春期の葛藤が母親との関係を巻き込むものだからだと言われています。



「男らしさ」を教える米国文化

野球、バスケ、アメフトにアイスホッケー、アメリカの男の子達に人気のスポーツといえば、まずこういったものが主流でしょう。それぞれのスポーツに立派なプロリーグが成立していることから考えても、かなりのスポーツ人口がいるのではないでしょうか。

少し前まで、アメリカの典型的な中流階級に生まれた男の子は、何はともあれ物心つけばリトルリーグに入るのが当たり前とされていました。スポーツは男の子の健全な体と精神を養うと考えられ、闘争心や攻撃性といった「男の子の本性(?)」を磨くのに最適だったからです。

社会的成功が最終的な目標となる社会では、競争心や攻撃性、威厳などが男らしさだと認識され、男の子達はその価値観に沿って育てられ、競争勝者優位型のヒエラルキーの中で熾烈な競争を繰り広げて来ました。


日本の「いい男」は中性的

一方、伝統的に日本の「いい男」または「高貴な男」というのは、芸術性や身体的な美しさを頂点とするヒエラルキーの中で決められてきたようです。貴族文化の形成を通じて、中性的な優美さに価値がおかれ、男性ホルモン過剰の「男らしさ」は、むしろ野卑、または非常に庶民的な性質とされました。

「英雄」という概念は欧米のもので、日本にはたとえ戦国武将のような競争に勝利した男性がいても、必ずしも「いい男」や「男の鑑(かがみ)」として描かれていないのがユニークだと思います。現代日本のいわゆる「いい男」も、米国のスター選手やジムでがっちりトレーニングしたハリウッド俳優とは全く違う、どちらかというと線の細いタイプが多いと思いませんか?

つまり、いわゆる「男らしい男」というのは、ある文化のある時代におけるローカルな価値観に過ぎず、決してグローバルな価値観でもなければ普遍的な価値観でもないということなのです。ではいったい、私たち現代の親は何をよりどころにして「よい男の子に」と育てればいいのでしょう?社会的に成功すること?それを支える学力?スポーツの能力?芸術的な才能?甘いマスク?優しさ?それとも?

次ページ: 「男らしさ」はプレッシャー?
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