カジュアルファッション

更新日:2006年08月11日

親子でクラシック「みちよしの夏休み」

編集部 All About 写真

8/20オーケストラ全員が、指揮者井上道義氏デザインのTシャツを着て演奏する異色のクラシックコンサート「みちよしの夏休み」。牧神の午後への前奏曲.夏の日の恋.浜辺の歌を聴きながら着たいTシャツ

文章:久米 信行(All About「Tシャツ」旧ガイド)

夏休みにクラシックを聴く日本人の新風習

なつかしの映画音楽から唱歌まで
なつかしの映画音楽から唱歌まで
年末にベートーベン第九を合唱付きで聴くのは、今や日本人の風習と言っても良いでしょう。しかし、夏休みにTシャツでオーケストラを聴く楽しさ、ふだんはクラシックを聞かない人たちも親子で気軽に聴く楽しさをご存知の方は、まだ少ないはず。

これは、東京下町に墨田区に本拠地を構える新日本フィルハーモニー交響楽団の、そしてマエストロ井上道義氏の新発明なのです。昨年初めて行われたコンサートに、私たちも一族郎党で聴きに行きました。そして、さりげなくアンコールで演奏された武満 徹氏の甘美な名曲「波の盆」に涙し、日本人に生まれてよかったとさえ思ったのでした。

この真夏の日曜日、昼下がりの60分コンサートの魅力は、ユニークな選曲です。今年は、ドビュッシーとディアギレフの芸術を愛する人にはたまらない「牧神の午後への前奏曲」。いにしえの名画「避暑地の出来事」の主題曲、マックス・スタイナー「夏の日の恋」。そして、宇宙物理学者の佐治晴夫先生がNASAで流して全員の涙を誘ったと言う成田為三の唱歌「浜辺の歌」....夏の終わりの切ない雰囲気にぴったりです。


オーケストラがTシャツ着てたってイイじゃない

Tシャツでクラシックを聴くのも一興
Tシャツでクラシックを聴くのも一興
クラシックコンサートというと、指揮者以下、楽団員はブラックフォーマル、聴衆の紳士淑女も正装というイメージがあるかもしれません。おそらく、毎回Tシャツで聴きに行っている定期会員は、私だけでしょう。

しかし、このコンサートでは、さすがに私も目立ちません。なにしろ、オーケストラのみなさん全員がTシャツなのですから。これだけに、いかにコンサートの雰囲気が変わるか想像できますでしょうか?願わくば、聴衆も全員好きなTシャツを着てきたら、さらには井上画伯デザインのTシャツを着てきたら素敵です。

当日、楽団員のみなさんが身にまとうTシャツは、井上道義氏デザインのTシャツです。当日、会場トリフォニーホールのロビーは、オーケストラゆかりのお宝が販売されるフリーマーケットになりますが、そこでもTシャツは限定販売されます。

販売用はわずか100枚未満。特に団員用の特別色は、各色2枚ずつの販売だそうですので、欲しい方は、13:30の開店直後に、2,500円を持って走りこみましょう。


今年も驚愕のデザインとマエストロの言葉

音楽家はデザインも言葉も独創的
音楽家はデザインも言葉も独創的


さて、今年の井上画伯のデザインは...やはり独創的でした。当日のプログラムに書かれる予定の、マエストロの言葉をご紹介します

▼井上道義氏の言葉
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T-シャツのデザインは今や誰でもやる。簡単に自分の家でやる人、写真屋さんで頼む人などもいる。音楽でもそうだが、誰でも出来るのもので、「ただでもいいから貰ってもらう」のではなくて、買ってもらうものとの差はどこにあるのだろう。バイオリンだってフルートだってハープだって、打楽器だって、手を振り回すことも、誰にでもできる。絵が描ければTシャツは作れる。しかし「アート」であるためにはそこに今までには無かった客観的な新しさを感じられる理由付け、説明があってこそ、価値を生むらしい。デザイン画か、ブロマイドのような存在であった、浮世絵を世界のアートとして知らしめたのは、フランス人であった。日本ではいまだにそんな、アートに価値を付け加える批評の世界が脆弱だ。

夏にスイカ割りか、海か、富士山だ。音楽もそこにまぜて欲しい。

親父が僕が小さいころ僕をボウズと呼び〈坊主の頭はスイカ頭〉と頭を撫ぜながら言ったのを思い出した。頭のかたちが絶壁でないのは寝かせ方ではなくて生みの父親の遺伝だ。

井上道義
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デザインに見入った私の言葉と販売Tシャツ

販売用Tシャツは紺色がベース
販売用Tシャツは紺色がベース
このTシャツを製作したご縁もあって、私もプログラムに寄せる言葉をリクエストされました。正直に書きました。

▼私の言葉
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毎年千種以上のTシャツ製作をお手伝いする「デザイン不感症」の私。しかし今年も井上画伯の作品を見て、昨年同様しばし言葉を失いました。今までいずこでも見たことが無いデザイン。ここ数年で市民権を得たありがちな和柄や漢字Tシャツと、井上画伯のTシャツ書画は明らかに一線を画します。

スイカ星人とおぼしき謎の人物は、よく見るとタクトを握った指揮者です。富士額に、しかめたような顔、いや笑いをこらえたような顔。その表情を形作っているのは、なんと井上の二文字。充血した目と唇は、盛夏を乗り切るための唐辛子あるいはカプサイシン効果。よく見れば立ち姿も2006の年号から流れるように描かれた夏の一字。とどめ刺す足下の夏も波頭にはじけ...来夏のデザインが今から楽しみなのです。
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それでは、Tシャツ姿でうちわを片手にコンサート会場でお会いしましょう!


 ▼新日本フィル「みちよしの夏休み」
  http://www.njp.or.jp/njp/programinfo/2005-06/20060820sp.html

(執筆者:久米 信行)

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