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男気ある優しさが嬉しいBRASS ブーツ編(3ページ目)

靴修理店BRASSのもう一つの顔、それはブーツメーカーとしての顔です。シューズは作らず色も黒だけと一見頑固な姿勢の裏には、履き手と一緒に靴を育ててゆきたいスタッフの純粋な思いが込められているのです。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

約束事があるからこそ、相当悩めます!

ジョッパーブーツ
BRASSのジョッパーブーツは表情の抑揚の付き方が兎に角絶妙! バックルとストラップの大きさや付く位置はもちろんのこと、着用時の力の掛かり具合に応じてアッパーの縫い合わせ糸の太さやピッチを細かく変えるなど、「ブーツ」を知り尽くしたスタッフならではの会心の作です。


BRASSの「黒のブーツ」は、お客様の注文を受けてから作成に取り掛かる、言わば「パターンメード」のシステムを取り入れています。受注の際のプロセスをまとめると、以下のようになります。

  1. 基本になるモデルを選びます。選択できるのはダービー(外羽根式)ブーツでキャップトウ(ストレートチップ・パンチドキャップトウ共に可能)セミブローグフルブローグの4つ、オックスフォード(内羽根式)ブーツでプレーントウキャップトウ(こちらもストレートチップ・パンチドキャップトウ共に可能)セミブローグの4つ、それにジョッパーブーツと2009年に加わったチャッカブーツの合計10種類。縫い目にあるステッチングやブローギングの追加・省略など若干のデザイン変更や、鳩目の種類を選ぶことも可能です。
  2. 装着するソールやヒールの種類を選びます。標準仕様はシングルレザーソールですが、ダブルレザーソールやラバーソールに変更したり、広目のコバでストームウェルト仕様としたりすることも可能です。
  3. アッパーに使用する革を選びます。用意されているのは、ボックスカーフは履き込んでいった後の表情が兎に角美しいドイツ・ワインハイマーレーダー社のもの、スエードはタフさと繊細さを兼ね備えたイギリス・C.F.ステッド社のもの、そしてダイナミックなシワと独特な表情が特徴のイタリアンバケッタレザーも選択できます。ダービーブーツとオックスフォードブーツではコンビ仕様にすることも可能です。
  4. 顧客の足を採寸した上で、用意された「サンプルブーツ」に足入れしてもらい、最適なサイズを選びます。木型とトウシェイプは各サイズ1種類ですが、「乗せ甲」「幅出し」などの若干の微調整は可能です。
  5. 1.~4.を基に、店内のアトリエで九分仕立てハンドソーン・ウェルテッド製法により靴を作成します。仮縫い等は行いません。
  6. 注文から約4ヶ月後に製品が完成し、顧客に納品となります。


どうでしょう、ここまで書けば「ブーツだけ、黒だけ」と申しても、決して一括りにしてはならない多様性を持ち合わせられることを実感できるのではないでしょうか? 同じスタイルのブーツであっても、例えばソールの仕様を変更したり、アッパーの革をボックスカーフからバケッタレザーに替えたりするだけで、新品の段階で既に靴の表情、と言う以上に意味合い自体を相当変えられるのです。当然ながら履き込んでゆけば、その差が一層歴然となって行くわけで、何と言うのか…… BRASSのブーツには「一定の約束事があるからこそ得られる、自由の大きさと深さ」を内包している、極めて鋭敏なモノづくりの姿勢が見て取れるのです!

チャッカブーツ
2009年から新たに加わったBRASSのチャッカブーツです。これはアッパーを写真の様なスエードやバケッタレザーにした方が、雰囲気が出そうな気がします。後者だと敢えてラバーソール&ストームウェルト仕様とかにすると、アウトドアユース等でも十分活躍できそう!




最後のページでは、実際にサンプルブーツに足入れしてみた感想など!
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