男の靴・スニーカー/ドレスシューズ

KENT SHOP 青山のカスタムメイドシューズ(2ページ目)

2006年9月から「カスタムメイドシューズ」を展開している、ケント ショップ 青山を訪問しました。トラッドな靴が見付からないとお嘆きの皆さん、ここなら「あの靴」をベストサイズで探せます!

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド


絶対納得できる、品質と価格

外羽根ウィングチップ
カスタムメイド人気第2位の外羽根ロングウィングチップ。クレープソールを選べるのも嬉しい! \34,650(税・オプション込み)。ケント ショップ 青山


その他中敷やコバ周りの種類、ライニングやステッチの色など、靴の表情を微妙に変化させる仕様を決め、注文を確定させていきます。実は記事で紹介しきれないほど色々と指定できるのですが、靴のスタイルやシェイプが普遍的でしっかりしているからこそ、細かいところで個性的に遊べるのです。ジャズのスタンダードナンバーに名アレンジが多いのと一緒ですね。完成までの約一ヶ月は、待ち遠しくてアッという間でしょう。

製造を担当するファクトリーは、山形県にある宮城興業。某大手トラッドシューズブランドのOEM生産を永年担当しているので、このような作りもスタイルもしっかりした靴は、黙っていても良品に仕立てます。もちろん底付けは堅牢なグッドイヤーウェルテッド製法ですから、ソールが磨り減ったらもちろん交換も可能です。

肝心の価格は、基本価格は短靴で税込み3万3600円、ブーツで3万5700円。スタイルの違いによる差はありません。これに例えばコードヴァンをアッパーに用いると1万6800円、ダブルソール仕様だと税込み1050円(いずれも税込み)など、各種のオプション価格が追加されるシステムです。デザインとサイズがこれだけ選べて、どんなに高価なオプションを追加してもほぼ5万円以内に収まるわけで、これははっきり言って大変お買い得でしょう。


見つけられないならオーダー、の時代

組み合わせ例
上の靴の合わせ方一例。「コーデイネート」などとチマチマ意識しなくても、完璧に纏まるのがトラッドの素晴らしさ。これこそ本当の男の装いです。靴\34,650 ジャケット\61,950 シャツ\11,550 タイ\7,140 トラウザーズ\15,750(全て税込み)。ケント ショップ 青山


そもそもこのカスタムメイド、きっかけはこのケント ショップ 青山の梅田店長とお客様との共通の悩みだったそうです。曰く
「自分たちが履きたい真面目でトラッドな靴を、巷ですっかり見なくなった」
「スタイルだけでなく、サイズもしっかり選べる靴が欲しい」

このお店では、スーツやジャケット、それにシャツについては数年前からパターンメイドの仕組みを取り入れ、大変好評を博しているとのこと。それと同様のシステムが靴にはないのか? 出来ないのか? アレコレ調査した結果、宮城興業との協力体制が誕生したそうです。

以前ご紹介した誂え(フルオーダー・ビスポーク)に比べると、パターンメイドは確かにそれを簡略化したものではあります。しかし、
  1. 比較的懐に優しい価格で、お客様に提供できる。
  2. サンプル(写真・実物)が既にあるので、出来上がりをお客様が想像しやすい。
などの、誂えには無い利点も忘れてはいけません。

お店にとっては、いつ売れるかわからない既製靴を沢山在庫するより、遥かに経費が掛からない点でも魅力でしょう。また靴を探す側にとっても、気に入ったものが見つからないと悶々としたり、「あのブランドのあの靴が売っていた、あの頃は良かった……」などと非生産的なノスタルジーに閉じ篭ったりしなくてよいわけで(これ、実は小生も陥りがちですから、気持ちはよく分かります。でも、過去は懐かしむものである以上に、今に活かして未来に繋げるものです!)、精神的に健全です。


巷の「コラボ」とは、次元が違います!

梅田店長
ケント ショップ 青山の梅田店長です。誠実な接客で、永年のファンも大変多くいらっしゃいます。
30代よりも若い読者の方はピンと来ないかもしれませんが、日本の昭和30年代後半以降紳士服が誂えから既製品主流に大変化を遂げる際、VANやKENTは言わばその旗振り役でした。それまでは「吊るし」と呼ばれた既製服の冴えないイメージを一新させ、特に団塊の世代の方々に「誂えよりも既製服の方がカッコイイ」と思わせた功績は絶大です。

そんなVANやKENTの聖地であるケント ショップ 青山が、服に限らず靴についてもパターンメイド、つまり自らがかつてライバル視した「誂え」の要素を取り入れ出しているのには、ある種の成熟感を覚えます。

既製品として与えられるがままではなく、使用環境や細かいサイズなど、「お客様個々の事情」で商品がアレンジできるようになったのと同時に、だからこそ「考えぬいた上で作品を選ぶ」ことの重要性が、ブランドやお店・ファクトリーだけでなく、お客様一人一人にとっても増している、ということですから。

当然のことですが、この方式はケント ショップ 青山のように、個々のお客様と共通の価値観でしっかり結ばれていると、非常に有効に作用するでしょう。その意味でも、巷で流行る単なる「コラボレーション」とは次元の異なる、共同創造なのです。

ということで、近頃トラッドな靴が見つからないとお嘆きの方、いつもサイズで悩まれている方、是非ともこのお店のドアを押してみてください。優しい梅田店長とのやり取りを通じて、何らかの建設的な解答を、必ず得られますよ!


【店データ】
■ケント ショップ 青山 (KENT SHOP 青山)
所在地:〒107-0062 東京都港区南青山3-8-39 西野ビル3F
TEL:03-3403-6962  FAX:03-3403-6927
営業時間:平日11:00~20:00 土日祝日11:00~19:30 年中無休
交通:東京メトロ外苑前駅1a出口より徒歩3分
または表参道駅A4出口より徒歩5分
地図:Yahoo!地図情報
ホームページ:KENT SHOP AOYAMA

【関連リンク】
「メンズシューズ基礎徹底講座」 外羽根式と内羽根式の違い
「メンズシューズ基礎徹底講座」 偉大なる単純。プレーントウ
「メンズファッション ガイドサイト」 いまもっとも注目されているトラッドアイテム 帰ってきたネイビー・ブレザー!
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