文章:竹川 圭(All About「靴」旧ガイド)

このブリーフケースは、ビスポーク部門の責任者であるフィリップ・アティエンツァ氏が企画に参画した。アティエンツァといえば1990年に凄腕の靴職人に贈られる「メイロー・ウブレレ・デ・フランス」を受賞したことで知られるが、最近では7000、8000番ラストといったビスポークのノウハウを詰め込んだプレタラインを発表し、改めてその実力を証明した人。加えて製品化までに3年以上もの月日をかけたというから、コイツの“逸品ぶり”はそうした事実関係だけで十分に伝わろうというものだ。
厳選されたレザーや一分のスキもない作りはいまさら説明するまでもないだろう。ここではバックルに注目しておきたい。どっしりと構える存在感、書類などの内容量に応じて3段階の調節ができる利便性…すべてにおいてパーフェクト。個人的にはかかとの補強に使うドッグテールが、随所に見られる茶目っ気が良いです。発売は来年1月。2ポケットのタイプが30万円、3ポケットのタイプが38万円。
もうひとつのニュースがシューズ。これまではパリの職人の来日を待たねばならず、年2回に限られていたビスポークが、なんと2003年より、常時受けられるようになった。要は日本スタッフが採寸し、それを元に本国で木型を削り、靴を作るだけのことなのだけど、そこにジョン・ロブのすごさが隠されているわけなのです。数カ月あれば大抵の資格がとれる昨今、日本スタッフは3年も前から採寸技術を磨いてきた。そしてアティエンツァがパリ本国とそん色ないレベルと太鼓判を押してようやく、実現に漕ぎ着けたのでした。