男の腕時計/スイスの老舗高級ブランド

ジャガー・ルクルト、175周年の躍進

スイス屈指の高級時計ブランドとして名高いジャガー・ルクルトは、今年175周年。ジュネーブで開催されたSIHH時計展示会では、充実した新作を披露して貫禄を示した。多彩な新作から注目のモデルを選んで紹介する。

執筆者:菅原 茂

175周年を記念する芳醇な味わいのコレクション

4月のスイスの時計展示会を訪れて最も印象深かったブランドの一つがジャガー・ルクルトだった。シンプルな薄型ドレスウォッチからスポーツウォッチ、超絶級のコンプリケ-ションまで、質、量ともに充実した内容で楽しませてくれたからだ。創業175周年。歴史に裏付けられたスイスでも数少ないマニュファクチュール(自社一貫生産メーカー)として、その実力をあらためて実感させるに十分だった。

ジャガー・ルクルト「マスターウルトラスリム」。
175周年記念限定コレクション「Collection 1833」より、「マスター・ウルトラスリム」。18Kピンクゴールド・ケース(直径38mm)、チョコレートカラー・ダイヤル、自動巻き。145万9500円。世界限定575本

まず紹介したいのが、創業年にちなんで「Collection 1833」と名付けられた175周年記念限定コレクション。美しいスケルトン仕上げのルテニウム・ダイヤルから精巧な複雑機構が見える「マスター・ミニッツリピーター」や「マスター・エイトデイズ・パーペチュアル・スケルトン」は、ジャガー・ルクルトの技術を堪能させる逸品。また、高い精度と頑強さを併せ持ち、第二時間帯表示やジャンピングデイトも備える「マスター・グランド・トゥールビヨン」と、こうしたコンプリケ-ションとは対極にある超薄型の2針シンプルウォッチ「マスター・ウルトラスリム」の二つは、文字盤を彩る上品なチョコレートカラーがなんともいえない趣を醸し出している。4モデルともピンクゴールドのケースが文字盤カラーと絶妙にマッチして、まさに芳醇な味わい。

ジャガー・ルクルト「マスター・エイトデイス・パーペチュアル・スケルトン」
175周年記念限定コレクション「Collection 1833」より、「マスター・エイトデイズ・パーペチュアル・スケルトン」。18Kピンクゴールド・ケース(直径41.5mm)、チョコレートカラー・ダイヤル、手巻き、8日間パワーリザーブ、永久カレンダーカレンダー。1165万5000円。世界限定175本

もちろん、機械式ムーブメントはすべて自社開発製造によるオリジナル。精度や品質に定評のあるジャガー・ルクルト製ムーブメントだけでも価値は十分にある。コンプリケ-ション・モデルには手が届かないにしても、「マスター・ウルトラスリム」は、手に入れたいと思わせる。

ちなみに、「マスター・ウルトラスリム」は、この限定コレクションではなく、通常モデルとしても、ラグやベゼルがより繊細なデザインになった新バージョンが発表された。ケースは直径38mm、厚さ6.3mmとコンパクトで、日本人の腕にも無理なくフィットする。こちらは比較的手頃な価格のステンレススティール・モデルもあり、シンプルウォッチを見直すにはいいきっかけになりそうだ。

次ページで「メモボックス・トリビュート・トゥ・ポラリス」を紹介
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