男の腕時計/スイスの老舗高級ブランド

時計の王道を行くパテック フィリップ

前回のロレックスとならんで、バーゼルワールドの「顔」として、ブランドの存在感が際立っているパテック フィリップ。今年は、1920年代の優雅なトノー・ウォッチの復刻「クロノメトロ・ゴンドーロ」が話題。

執筆者:菅原 茂

ブランドの基本を貫く確かな姿勢

スイスの数ある老舗の中で、パテック フィリップは、つねに安定感を感じさせるブランドだ。周囲で展開される賑々しいトレンドに流されることもなく、自分のスタイルを守りながら、時計づくりの王道をゆく姿は、まさに「時計の王者」の貫禄。

ここ2年のパテック フィリップは、時計を動かすムーブメントの核心部の部品に画期的なシリコン素材を用いたり、世界で最も薄いスプリットセコンド・クロノグラフや、まったく新しい機構のクロノグラフを発表するなど、革新的な技術で脚光を浴びたが、今年の傾向は、やはりクラシックな機械式時計のさらなる深化にあるだろう。けっして派手さは見られないが、最高品質で勝負する老舗の姿勢はだれの目にも明確だ。「個人が短期間で消費する時計ではなくて、何世代にも受け継がれる価値ある時計」を目指すパテック フィリップの哲学が、どのモデルにもよく表れている。

パテック フィリップ「グランドコンプリケーション5159」。
「グランドコンプリケーション5159」。レトログラード日付表示付き永久カレンダー。18Kホワイトゴールド・ケース。自動巻き。783万3000円

複雑時計の新作では、レトログラード日付表示付き永久カレンダー・モデル「5159」が印象的。以前のモデルよりサイズが一回り大きくなり、オフィサータイプ(開閉式の裏蓋付き)のケースが新たに採用されている。文字盤のデザインも新鮮な表情に生まれ変わった。複数の複雑機構を組み合わせた、いわゆる「グランドコンプリケーション」と呼ばれる時計は、パテック フィリップの最も得意とする分野。ふつうなら、機能を強調するあまり、演出過剰なデザインになりがちだが、この時計は、控え目なクラシック・デザインに落ち着いた深い味わいがあり、本物志向の時計ファンを満足させる。


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