確実に進歩している、毛髪再生医療
毛髪再生医療の進歩で、フサフサの自毛を手に入れられる日はすぐそこに!? |
■毛包から取り出した細胞移植で腕から毛髪が
2001年、広島大学大学院の吉里勝利教授らは、毛髪の再生を成功させました。毛包からパピラ細胞と表皮幹細胞を分離・培養し、腕の表皮に移植したところ、本物の毛が生えてきたのです。しかし、その毛は細く短いもの。毛髪再生で生えてくる毛を、太く長くするための研究が続けられているそうです。
■別のマウスに毛を生えさせる実験成功
2006年には、バイオマスターというベンチャー企業が、マウスの毛包から採取した細胞を、毛の生えていない別のマウスの皮膚に移植し、毛を生えさせる実験に成功。将来的には、人間にも応用できるということです。
■毛髪の再生は5年以内に実現するか!?
2007年には、東京理科大と大阪大の共同研究グループが、歯と毛を再生することに成功したことを発表。マウスによる実験で、正常な歯と同じ構造の歯を100%の確率で再生することに成功し、毛も通常と同じように伸びたという結果が出ました。研究グループリーダーの辻孝東京理科大助教授は、「歯の再生を人間で実際に行うにはまだ時間がかかるが、毛髪の再生は5年以内にできそうだ」と語っています。
■他人の頭皮から毛髪を再生
2008年には、国立循環器病センター(大阪吹田市)、神戸大学病院、大阪工業大の共同研究により、他人の健全な頭皮を利用して毛の生えやすい基盤を作り、薄毛の人の頭毛をよみがえらせる、毛髪再生医療の研究を始めると発表しました。
この研究では、まず、美容外科手術などで余った人間の頭皮に高い圧力をかけて、細胞を取り除いた真皮を作製します。次に、その真皮に患者自身の毛包、毛乳頭細胞を培養して患者の頭皮に移植。最後に、毛髪の形成を促す毛乳頭細胞を注射し、毛髪の再生を促す、というもの。患者自身の細胞を使うため、拒絶反応も少ないとされます。今後、臨床実験が進められ、本当に毛が生えてくるのか確認していくとのことです。
このように、世界中で、毛髪再生のため日夜研究が重ねられています。毛髪再生医療が確立すれば、晩期や重症のAGA(男性型脱毛症)、先天的無毛症、やけどなどで髪がなくなった人など、どんな薄毛の人でもフサフサの自毛を手に入れられる日が来るでしょう。
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