輸入車/注目の輸入車試乗レポート

これぞ正統派、スポーツを極めたエヴォーラ

ロータスにとって久方ぶりのニューモデル、2+2ミッドシップスポーツカーのエヴォーラ。その走りは最初から最後まで典型的なスポーツカーであり続けていました。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

世にも稀な2+2ミッドレイアウト

ロータスエヴォーラ
'95年のエリーゼ登場以来となるロータスのニューモデル。2+2シーターのミッドシップレイアウトをもつ。サイズは全長4342×全幅1848×全高1223mm。価格は892.5万円となる。なお2シーターも選択でき、価格は850.5万円となる。0-100km/h加速は約5秒

ロータスにとっては久方ぶりのオールブランニューモデル、エヴォーラ。トヨタ製V6エンジンをミッドに積む、世にも稀な2+2スポーツカーだ。そこで、スーパーカー世代なら容易に思い出されるのが、ディーノ308GT4からモンディアルに至るフェラーリ2+2ミッドの系譜。あちらはV8だったけれど……。

エヴォーラを間近に見て、まず思い出したのが308GT4だった。実はこの2台、ボディサイズがほとんど同じ。もちろんデザイン的にはベルトーネの308とはまるで違うテイストだが、このサイズ感がとても嬉しく思えたのだ。自分の掌に収まる、とでも言おうか。昨今のスーパーカーはとにかくでかすぎる。それで高性能だと言われても、どこか納得できない自分がいたりしたから、この大きさにぐっと引き込まれたというわけだ。

モンディアルはもう少し大きい。とはいえ、308GT4やモンディアルに比べると、エヴォーラの+2は人じゃなく荷物用じゃないか、と思うほど狭い。子供でも嫌がると思う。フェラーリの+2は完全に人用なのに対して、エヴォーラの後席はイギリス流に“シートさえあればそれで+2”の流儀である。ちなみに、そんなことならいっそ+2を取り去って2シーターにできるところもイギリス流だ。

エリーゼに比べれば、大きくなって高級にもなったから、気骨あるロータスファンにはナンパなクルマと映るかも知れないが、世間から見ればこれでも小さくまとまっている。そこに、逆にロータスの筋が通った気骨を感じずにはいられない。

ことこのようなクルマだから、900万円を切る価格設定に関しては、安いとも高いとも言えない、というのが本音。外に比べるべきクルマがない(ポルシェ911?そうだろうか……)し、エリーゼ同様、ロータスの魅力はその孤高さにある。一千万円を超えなくて嬉しい、とは言えるけど。

もっとも、テックパックやらスポーツパックやらプレミアムパックやら、と豊富なオプションをついつい選んでしまうと、総支払額は軽く一千万円をオーバーしてしまったりする。

ロータスエヴォーラ
エンジンの後ろには160リッターの容量をもつトランクが備わる。オプションでスポーツパック(18万円)を用意。こちらはスロットルレスポンスやトラクションなどをスポーツモードに切り替えられるスイッチや、エンジンオイルクーラーなどが備わる

なかなかよくできたミッドシップカーデザインだと思う。サイドシルエットやリアフェンダーの膨らみは格好いいミッド搭載を上手にアピールできているし、サイドウィンドウとルーフ、リアピラーの接点などは面白い処理でユニークだ。ひとつだけピンとこないのが、顔かな。スーパーカー世代はとにかく、(リトラで)目がないマスクに目がない、というわけで、ヘッドライトの処理や、そこだけ昔風な楕円グリルのノーズに、どこか中途半端さを感じてしまう。まあ、好みの問題だけど。

ボクはこのクルマを、一般道から高速、そして軽くサーキットを流すところまで走らせてみたけれど、最初から最後まで典型的なスポーツカーであり続けた。それこそがロータスの存在理由であると言わんばかりに。

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