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ダイアリー新車レビュー(7月7日発表) VWトゥアレグ発表!

VWから高級SUVのトゥアレグが発表されました。日本では9月2日から発売とのことですが、予約注文の受付が始まることもあって早めに発表会が開催されました。

執筆者:松下 宏




●ブランド革新への第一歩

VWから高級SUVのトゥアレグが発表されました。日本では9月2日から発売とのことですが、予約注文の受付が始まることもあって早めに発表会が開催されました。VWは一般的には大衆車メーカーというイメージですが、本国では超高級車のフェートンを発売するなど、VWのブランドイメージの革新を図ろうとしています。日本でもこのポルシェと共同開発したトゥアレグをキッカケに、ブランドイメージの革新を図ろうとしています。

高級SUVは今、アメリカでバカ売れ状態のこともあって、アメリカ市場で商売をしている世界中の自動車メーカーがこのジャンルのクルマを開発しています。日本のメーカーもトヨタや日産、ホンダがこのジャンルに新しいクルマを投入していますし、外国のメーカーもボルボXC90やカイエンなどが次々に投入されています。そんな流れの中で作られたSUVのトゥアレグですが、けっこう欲張りなクルマに仕上げられています。


●1台代で3台分の魅力

トゥアレグはやや遅れて高級SUVの市場に参入してきたクルマだけに、いろいろと新しい魅力を備えています。

ひとつは高級サルーンとしての魅力で、迫力ある外観デザインや木目パネルなどによる品質感にあふれたインテリア回りの仕様などが高級車らしさを表現しています。次にスポーツカーとしてのオンロード性能の高さが魅力となります。このあたりはポルシェのカイエンの姉妹車であることが端的にスポーティさを表現しているワケですが、V型6気筒の3200ccが162kW、V型8気筒(VWとしては初のものです)の4200ccエンジンが228kWというパワフルな実力を発揮します。オンロードでの加速性能は文字通りスポーツカー並み実力となります。

最後にオフロードでの走破性ですが、これも本格的なオフロード4WDに対しても勝るとも劣らない性能です。最大45度の傾斜のある坂道を登ることができたり、35度の傾斜の斜面を横に走ることができる上、50cmの水深の川を渡ることができます。4WDシステムは4×モーションと呼ぶ独自のもので、通常時は50:50に駆動力を配分し、路面や走行状態によって前後の駆動力を自動的に配分する仕組みです。さらに急な坂道の下りではヒル・デセント・アシスト、登坂ではATのヒルホルダー、オフロード走行に最適化したESP、ハイトコントロール機能を備えたCDCエアサスペンションなど、先進的な電子制御技術がふんだんに盛り込まれています。


●カイエンに比べると半値の割安感

トゥアレグの価格はV6エンジン搭載車が495万円、V8エンジン搭載車が645万円に設定されています。サンルーフは12万円、V8にオプションのCDCエアサスペンションは28万円、V6にオプションのレザーシート&ウッドパネルは36万5000円のオプション価格が設定されています。4500ccの自然吸気で860万円、ターボ仕様が1250万円もすることを考えると、上級モデル同士の比較では半額以下ということになります。これは相当な割安感といえるでしょう。

最初に書いたように、トゥアレグはアメリカ市場を向いて作られたクルマであるため、日本ではサイズが大きすぎるように思います。全長の4755mmはまあ何とか妥協の範囲としても、全幅が1930mmもあると駐車場に困ることが多くなります。最小回転半径は5.4mとボディサイズの割には比較的小さいのですが、これだけ大きいクルマだと扱いやすいとはいえません。またボディの大きさから車両重量もV6で2240kg、V8では236kgと2tを超えています。10・15モード燃費はともに6km/L台ですが、実用燃費は5km/Lを切るでしょう。資源・環境の観点からは相当に厳しいものがあります。

●本格SUV並みの悪路走破性

実際に試乗しても、そのことが良く分かりました。今日の試乗はV6とV8で伊豆スカイラインのオンロードを走り、その後でモビリティパーク内に特設されたオフロードコースを走りました。オンロードでの走りは高級車らしいもので、V6もV8も相当に良く走ります。車両重量が2.2tを超えることもあって、V6での上りはちょっと苦しい感じになることもありましたが、実用的にはこれで十分という気持ちにさせられます。V8に乗ると余裕十分の走りなので、こちらのほうが魅力的なのは確かですが、価格差が150万円もあるので、迷いも大きくなります。トランスミッションは6速のティプトロニックで、これがまた具合が良いものでした。ただパドルシフトは慣れないためもあってか、さほど操作性が良いとは思えませんでした。伊豆スカイラインのワインディングではスポーツカーのような走りが可能で、特にCDCエアサスペンションを備えたV8の操縦安定性の高さは正にはポーツカー感覚のものでした。

特設コースでのオフロードの走りも並のSUVの実力を超えています。乗用車系のプラットホームを使って作られたSUVの中で、最も悪路走破性が高いのがトゥアレグだと言ってもいいでしょう。急な坂道の昇り降りから、水深50cmの中まで自在な走りを実現してくれました。まあ、トゥアレグの性能に合わせて作られたコースではあるのですが、この走破性は相当なものです。
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