ルノー/ルーテシア

ロードインプレッション ルノー・ルーテシア1.4RXT5ドア

3月下旬にこのコーナーでも紹介した、日本仕様のルノー・ルーテシアに追加された1.4リッターDOHCモデル。すでに4月から販売されているこの車種に、ようやく試乗することができた。新開発のツインカムエンジンがもたらす走りはどうなのか、今までの1.6リッターSOHCを積んだモデルと比べて遅くなったりはしていないのか、外観や内装の違いはあるのかなどを報告していくことにしよう。

執筆者:森口 将之


ルーテシアの1.4リッターDOHCモデルは、3ドアと5ドアがある。従来からあった1.6リッターSOHCがRXEというグレードだったのに対し、こちらはRXTだ。日本ではエンジンが小さくなったこともあってRXEよりも価格が下げられたが、本国ではRXTのほうが1ランク上。日本仕様のトランスミッションはプロアクティブと呼ばれる学習機能付き4速AT。右ハンドルであることを含めてRXEと同じだ。試乗したのは5ドアだった。

外観はRXEと比べると、ヘッドランプが16Vなどと同じ4灯式になり、サイドモールに付くグレードを示す文字が1.4 16VとRXTになって、ホイールがアルミからスチールに変わったことぐらい。ホイールの違いは気にする人も多いかもしれないが、個人的には意外なほど差は少ないと思った。

室内もグレーのトリムはおろか、シート表面の材質やグラフィックまで同じ。その中で大きく違うのはオーディオだ。後付けのカセットプレーヤー+チューナーから、メーカーオリジナルのCDプレーヤー+チューナーに変わっている。新型セニックにも付いているこのオーディオ、いかにもルノーらしいデザインとスイッチの少ない合理的な設計が個人的には好きだ。

エンジンは1.6リッターの16Vの縮小版で、ボンネットを開けてみたときの眺めも変わらない。最高出力は72kW/6000rpmで、66kW/5250rpmだったRXEをしのぐ。最大トルクは127Nm/3750rpmで、RXEの132Nm/2500rpmと比べると、やはり排気量の分だけ劣り、発生回転数も高い。車両重量は1050kgでRXEとまったく同じだ。

こうなるとトルクの違いがもたらす発進加速が気になるところだが、結果的には不満はなかった。スタート直後の余裕という点ではRXEに少し歩があるが、その後は同レベルといっていい。追い越し加速でもRXEより少し高い回転域を使う程度。同じ1.4リッターながらSOHC8バルブのプジョー206XTよりは明らかに速いし、DOHCを積むVWポロと比べてもATの効率がいい分活発に感じられる。

一方感覚的な部分では違いがあった。さすがに小排気量だけあって、回り方が軽快で滑らかなのだ。音もRXEと比べると繊細で爽やかさを感じさせるものとなり、かつボリュームは下がっている。個人的には1.6リッターの16Vよりも心地よく思えた。これでMTがあればと何度も思ったほどだ。100km/hでのエンジン回転数はRXEの約2500rpmから約2800rpmへとやや高まったが、前に書いた理由のおかげでまったく気にならなかった。

サスペンションのセッティングの違いは不明で、タイヤサイズも175/65R14のまま。そのためもあって、乗り心地やハンドリングに大きな違いは感じられなかった。もちろんこれは欠点ではない。この面ではクラスでトップレベルといえるルーテシアの良さをそのまま受け継いでいるということだ。

これで価格は179万円(3ドアは169万円)。今年3月まではRXE5ドアが205万円もしたことを考えれば(現在は185万円に下がった)、かなり割安感が強い。ポロやオペル・ヴィータなどのドイツ勢よりは下だし、今まではリーズナブルだと感じられた206XT5ドアと同じなのだ。これを機に、販売の面でも206に負けない実績を作ってほしいと個人的に思った。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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