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オイル交換にまつわるその常識は本当?

エンジンオイル交換については、昔から様々な説がささやかれていますが、そうした常識は一体どこまで本当なのでしょうか? 今回はそうしたオイル交換に関する噂の真相を検証してみます。

執筆者:宮島 小次郎


これまで数回にわたって、エンジンオイル交換に関連した話題を取り上げてきましたが、今回はそれらのまとめ的な意味合いも込めて、よく聞かれるオイル交換にまつわる疑問や昔から巷で言われている常識について考えてみたいと思います。

オイル交換は上抜きと下抜きのどちらがいいか?

オイルの上抜き
量販店などオイル交換を頻繁に行う現場では、専用のチェンジャーを使ってレベルゲージ部からオイルを吸い上げる上抜きが一般的になっています
DIY派の人にとっては、オイル交換といえばオイルパンのドレーンプラグからオイルを抜く下抜きが常識でしょう。ところが、最近一般の量販店などでは、レベルゲージのチューブにパイプを差し込んで、ポンプの力でオイルを吸い上げる上抜きが一般的です。では、一体どちらの方法が確実にオイルを交換できるのでしょうか?

答えは、どちらもそれほど変わらない、です。もちろん、厳密にみれば、オイルパンの形状などによって、下抜きでは車体を傾けてやらないと抜けにくかったり、上抜き用のパイプがオイルパンの一番底に届きにくいということもあると思います。ただし、その差は問題になるほど大きなものではありません。

なぜなら、もともとオイルパンに溜まっているオイルが、エンジンの中に入っているオイルのすべてというわけではないからです。そのため、いくらオイルパン内のオイルを確実に排出できたからといって、100%のオイルを交換することは不可能です。ですから、あまり上抜き、下抜きということにこだわる必要はないと思います。

量販店などで上抜きオイル交換を行う理由は単に作業性の問題と、下抜きを行う際にドレーンボルトの締め付けが足りなかったり、逆に強く締めすぎてしまったり、といった作業ミスを減らすことが目的であるとも聞きます。また、最近のクルマでは、エンジン下をカバーで被っていることが多く、下抜きで作業する場合はそうしたアンダーカバーを外す必要があるため、手間がかかるというのも、上抜きが増えてきた要因かもしれません。

レベルゲージに付いたオイルを触って粘度低下が分かる?

オイルの粘度
昔から指で触ってオイルの劣化を確かめるという方法が紹介されてきましたが、果たして触っただけで粘度の変化が分かるものでしょうか?
雑誌のメンテナンス記事などでも、オイルの劣化を見極める方法として、オイルを指で触ってその粘り具合で粘度低下を確認する、という方法を目にしますが、実際指で触っただけで粘度の変化が分かるものでしょうか? 正直、私にはその違いなど分かりません。

同じ銘柄のオイルで、新品とある程度使用したものとを比べれば、もしかしたらなにがしかの違いは分かるかもしれません。しかし、それでオイルの劣化具合を判断することは、ちょっと常人にはマネできないワザでしょう。実際、新品のオイルも使用して熱を加えると、比較的早い段階である程度の粘度低下を起こすといいます。それが許容範囲を超えて、油圧低下というような症状として現れれば交換時期と判断できますが、少し粘度が下がったくらいで走行に問題が出ることはありません。

人間の感覚は、研ぎ澄まされれば時として機械などよりも正確に変化を感じ取ることができるといいますが、温度によっても変わるオイルの粘度を正確に測ることは、ちょっとできそうもありません。そのため、オイルを指で触ったぐらいでは、実際大したことは分からないのです。

次ページでもさらなる噂の真相に迫ります
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