カーメンテナンス/車のトラブル

バッテリーが上がりやすい夏…原因と対策

冬場と同様にバッテリー上がりのトラブルが多いのが、真夏の暑い時期です。特に炎天下の高速道路などで渋滞に巻き込まれたときは要注意です。電装品の使い方によっては、バッテリーに大きく負担を掛けてしまいます。その原因と対策をご紹介します。

執筆者:宮島 小次郎

バッテリーが上がるのは発電量と消費電力のバランスのせい

夏場のトラブルで多いのが、バッテリー上がりです。炎天下で渋滞に巻き込まれたときが、実は最も危険な状態です

夏場のトラブルで多いのが、バッテリー上がりです。炎天下で渋滞に巻き込まれたときが、実は最も危険な状態です

バッテリーは温度変化に弱く、特に低温状態ではその機能が著しく低下してしまいます。そのため、冬場にバッテリー上がりのトラブルが多いのは、皆さんご存じのとおりです。では気温が高い夏でも、バッテリートラブルが多いのはなぜでしょうか?

実は暑い時期というのは、単純に電力の消費量が多く、オルタネーターの発電量が消費量に追い付かなくなることでバッテリーの蓄電量が低下してしまうのです。夏場に使う装備で、最も電力消費が多いもの、それはエアコンです。クルマのエアコンは家庭用エアコンなどとは異なり、システムの中核であるコンプレッサーはエンジンの出力によって駆動していますから、基本的には電力を必要としません。では何が電力を消費するのかというと、実は風を送るためのファンが電力を食うのです。

送風用のファンは電気モーターによって回転するのですが、暑い時はとにかく全開、という使い方をしがち。ところが、これがバッテリーに負担を掛けていたのです。そしてもうひとつ、エアコン以外に電力を多く消費するのが、意外にもブレーキランプなのです。後続車にブレーキを操作していることを確実に知らせるため、ブレーキランプは結構消費電力の大きなバルブを使っているのです。

では、このふたつを積極的に使う場面とは……、そう、真夏の高速道路などで渋滞にはまった時です。直射日光が照りつける真夏の車内では、とてもエアコンなしにはいられませんし、渋滞時には必然的にブレーキペダルを踏んでいる時間が長くなります。その上、渋滞時はエンジン回転数が上がらないため、オルタネーターの充電効率も下がります。つまり、発電量が少ない上に、消費電力は多いというバッテリーには本当に過酷な状況なのです。

では、こんな場面でバッテリーの消耗を抑えるためにはどうしたらよいのでしょうか?
 

対策としては電力消費量を減らす

エアコンの風量をMAXにして、ガンガンに冷やすという使い方は、大量の電力を消費することになります

エアコンの風量をMAXにして、ガンガンに冷やすという使い方は、大量の電力を消費することになります

さて、各電装部品の電力消費量のデータを見てみると、とにかくエアコンの電力消費がずば抜けて多いことが分かります。第2位のリアデフォッガーもかなり多いですが、快晴の夏日にエアコンと併用することはまずないでしょう。同様に第4位ヘッドライトや5位のワイパーも候補から外すことができます。

第3位はブレーキランプですが、こればかりはブレーキを踏まないわけにはいきませんから、どうしようもありません。MT車であれば、停車時間が長いときには、サイドブレーキを引いてブレーキペダルを離すという方法もありますが、AT車ではこまめにシフトをDポジションからNやPに変える操作は、ATミッションに負担を掛けますのでおススメできません。それでは消費電力を抑えるにはどうすればよいのでしょうか?
 
オートエアコン装備車であれば、風量をオートに設定し、温度を少し高めに設定することで、電力消費も抑えられるはずです

オートエアコン装備車であれば、風量をオートに設定し、温度を少し高めに設定することで、電力消費も抑えられるはずです

それにはエアコンの風量を控えめにする、という方法が有効です。JAFのデータでも、エアコンが最も多く電力を消費しているのは、風力を最強に設定している状態でのことなのが分かります。そこで車内の温度が十分に下がってきたら、エアコンの風量を少し下げてみてください。暑くなってきたらまた風量を上げる、というようにこまめに切り替えてやれば、暑さを我慢することなく、電力消費量も抑えることができるでしょう。また、オートエアコン装備車であれば、風量をオートに設定しておけば、設定温度を保つよう自動的に風量を調節してくれます。その際、設定温度を少し高めにしておけば、燃費にも好影響を与えるはずです。

逆にカーナビやTVなどは大して電力を食いませんから、よほどバッテリーが危険な状態でない限りはいちいち電源を落とす必要はありません。強いて言えば、カーオーディオのスピーカーがやや電力を消費しますので、音量は控えめにしておくといいでしょう。

いずれにしても、バッテリーやオルタネーターなどが正常な状態であれば、2~3時間くらいの渋滞でバッテリーが上がってしまうことはありません。バッテリー上がりを起こす場合は、得てしてバッテリーが弱っている時だったりしますので、遠出などの前にはバッテリーの状態を点検しておくことが大切です。

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