(前ページからの続き)
一般的なエンジンでは装着されないことも多いのですが、冷間始動からアイドリングさせたままでは、水温が上がっても油温は低いままということもあります。ましてや、低速運転時に摩耗が促進されるカムシャフトは、エンジンのシリンダーヘッドというオイルパンから最も離れた位置にあるので、さらに低油温になります。
また、オイル中に溶け込んだガソリン分や燃焼で発生する水分がいつまで経っても蒸発しないので、低温スラッジといわれる物質が発生しやすくなります。このようなエンジンでは、オイルがガソリン臭くなっていることもあります。
油温の適温は、水温の上下10度くらいが目安で、80~100度前後と言われています。
海外のチューニング用品の中には、油温を上げるためのヒーターがあるようです。これは、極寒地方で使われるブロックヒーターなどとは別物で、ちょうどレースで見られるようなタイヤウォーマーのような目的といえそうです。
アイドリングもエンジンを傷める アクセルを完全に閉じたアイドリング運転は、日本語では遊転とも訳されることがあるように、エンジン自体が作動できる最低限の出力で回転する状態です(正しくは、仕事をしてなければ出力ゼロです)。渋滞でのノロノロ走行でクルマが走ったと思ったら、再び停止するという運転パターンもアイドリング主体の使い方です。
一見、エンジンには負担が掛かっていないようですが、別の部分では摩耗が促進されます。

ここで、摩耗が進行しやすいのはカムシャフトを始めとする動弁系です。カムシャフトというのは、燃焼室の空気の出し入れをコントロールするバルブを決められたタイミングで押し下げるパーツで、横から見ると卵形のような断面形状をしています。
カムはバルブを密着させているスプリングの力に対抗しながら、バルブを押し下げていきますが、低回転になればなるほどスプリングの反力をまともに受けてしまい、カム山の頂点が摩耗しやすくなるのです。回転が上がってくると、押し下げたバルブの慣性力がスプリングの反力を低減させ、オイル自体も摺動面に良く巻き込まれるので、潤滑条件が良くなります。
ちなみに、カムシャフトというのはクランクシャフトの半分のスピードで回ります。仮にエンジンが2000回転(分)で回っているとすると、カムは1000回転(分)で回ることになります。
不必要なターボタイマーも悪 私の住んでいるマンションで280ps級スポーツカーのターボ車オーナーが2人いるのですが、その辺に出かけて帰ってくる程度でも、ターボタイマーで30秒~1分ほどのアフターアイドルを律儀にやっています。
夜中に帰ってきてもこれなので、騒音、省エネ、環境(排ガス)という面から好ましくないのはもちろん、エンジンを大事にしているつもりが、かえってダメージを与えてしまうことに早く気づいて欲しいなあと思う今日この頃です。
確かに、高速道路を走行してパーキングやサービスエリアに入った時は、クールダウンをした方が良いと思いますが、過度なアイドリングは摩耗を促進させるので注意しましょう。
エンジンを傷める乗り方とは 近くのコンビニなどに買い物に行くのに、いちいちクルマを使い、暖機もままならないうちにエンジン停止。このようなチョイ乗りといわれる乗り方は、かなりシビアと言えます。実際にメーカーで規定されるシビアコンディションの中には、ちょっとした買い物や送迎など、8キロ以内の短距離走行を繰り返す状態を含む場合があります。
この乗り方では、冷間始動が多く油温も上がらない、低速走行が多いなどエンジンにとっては悪い条件ばかりなのです。また、マフラーに水が溜まりやすくなるので、材質が鉄製の場合は腐食が早期に進行します。
理想論になりますが、不要不急のクルマの使用は避けて、一旦エンジンを掛けたら走りっぱなし、余分なアイドリングもしないという使い方が長持ちさせる条件のようです。