カーメンテナンス/車の点検ポイント

電装品チェックの基本 ヒューズの点検法

電気回路のほとんどには、ヒューズが付いています。最近のクルマで切れることはほとんどありませんが、チェックの方法を知っておきましょう。

執筆者:高山 則政

文章 : 高山則政(All About Japan「カーメンテナンス」旧ガイド)

ヒューズの役目
 クルマの電気回路には、ショートや電装品の取り付けすぎによる過電流から回路の保護をするためのヒューズが付いています。もし、電線の中が露出してクルマのボディと接触するとボディはマイナス極なので、コードに流れるだけ電流が流れます。ヒューズなどの保護装置がないと、コードが真っ赤に焼けて溶けきれるまで電流が流されて、その回路は使い物にならなくなります。また、過熱から車両火災を起こす原因にもなります。このようなことから、セルモーターをのぞく、ほぼ100%の電装パーツにはヒューズが付いています。

 ヒューズの基本構造は、定められた以上の電流が流れると、中の線が溶けて切れてしまうというものです。切れてしまったものは交換しなければなりません。これとは別に、ブレーカータイプというのもあって、家庭のもののように、過電流でカットされてもリセットボタンなどを押すと元に戻るのもあるます。

ミニタイプのブレードヒューズが主流
 クルマのヒューズには、作られた年代と使用目的でいくつかの種類があります。
まず、昭和50年くらいまでの古いクルマでは、管ヒューズと呼ばれるものが使われていました。丸いガラス管の中に、針金や薄い板状の線が入っています。このタイプは、今でもシガープラグを使用したカー用品や、電源コードの中間に入れて使用したりされています。

 管ヒューズの場合、両端にある金属の口金のところで切れていると、見ただけでは正常と間違った判断をしてしまう恐れがあったり、過電流でなくても勝手に切れることもあるという、寿命のようなものもありました。

 この次に出てきたのは、ブレード型ヒューズというものです。板状の金属板の間に溶解する部分が付いていて、外観は透明な色つきプラスティックで覆われています。つながっている部分がスケルトンで、良否判定がしやすく、耐久性も管ヒューズとは比較にならないくらい向上しています。

 さらに、このブレード型ヒューズを発展させたのがミニ・ブレードヒューズです。ブレード型ヒューズがベースになっていますが、幅も高さもグンとスリム化されています。現在のクルマでは、省スペース化が求められているので、こんなところも小さくなってしまったのです。

ヒューズの点検法
 今のクルマでは、ヒューズが勝手に切れてしまうことはほとんどありません。例えば、オーディオを自分で付けたら、全く動かなくなったという場合など、配線ミスや電流オーバーなどの人為的なミスの方が圧倒的に多いと思います。
 ヒューズは、エンジンルームや室内に設置されたボックスの中に入っています。室内の場合は、コインケースの裏に設置されているなど、すぐには分からない場所に隠れていることもあるので、いざというときに慌てないよう、場所くらいは知っておいた方がよいでしょう。

 それぞれのヒューズには、使う回路に合わせて電流量が決められていて、ヒューズボックスのフタにも名称が書かれています。いくつかの回路は兼用されるのが普通で、例えばハザードとホーン、シガーライターとラジオなどの組み合わせ使用をしています。トラブルの一例としては、ラジオが使えないときにシガーライターも使えなくなっていたら、個々の電装品故障よりヒューズ切れの可能性が高いという判断もできます。
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