文章:川島 茂夫(All About「ミニバン・SUV」旧ガイド)
世界に追いつけ、日本に追いつけ、そんな頑張りをいつも韓国車に感じていた。もう20年前以上になるだろうか、ポニー・エクセルに乗った時、「形は出来ているがまだまだ遠いな」と感じたあの日から、今に至るまで日本や欧米車とのギャップをどこまで埋めたかが、第一番の興味だった。どうも、それも過去の話になったようだ。
今回、取り扱うヒュンダイJMは、その韓国車の現在を問うに相応しいモデルだ。FFをベースとしたモノコック式シャシー(エラントラのプラットフォーム)などの乗用車型設計を取り入れた現代的なSUVであり、スペックを見ても同クラス他車に決して見劣りしない。
もっとも、スペックで追いつけばいいと言うものではない。どちらかといえば、現代の乗用車にとってスペックに現れない部分のほうが重要である。そこが、JMを考える上でも重要の鍵となっている。
試乗した第一の印象は、走り込んで作り上げたクルマ特有のまとまりのよさである。例えばコーナリングでは舵角一定の定常円旋回での特性もあるが、実際には切り増し戻し、路面のアンジュレーションに応じた転舵などなど舵角を変化させながら扱うことが多く、状態の変化の滑らかさ、あるいはドライバーに自然に受け止められる挙動がハンドリングの印象では重要である。いくら定常円旋回でコーナリング限界がいいとか、弱アンダーステアで好ましい特性だといっこところで、ダイナミックに変化するドライビングや路面状況の中で違和感を覚えるようではダメなのである。
同じことはパワーフィールにもいえる。微小スロットル開度からジワリと開けた時の加速感からドンと踏み込んだ時の応答性まで自然な連続感が保てるのが好ましい。ヒュンダイJMはこういったところがうまく出来ている。走り出せば、それほど長い時間を過ごさなくても、長く乗り続けたクルマのように扱えてしまう。
騒音の透過感が強いとか微小ストロークの乗り心地に落ち着きが薄いとか、つつくべき重箱の隅もあるのだが、SUVのエントリークラスならば納得できる範囲であり、「出来ていない」わけではない。
ついでに付け加えるならば、盛り上がったフロントフェンダーラインは小柄なドライバーにも視認性がよく、車幅をつかみやすい。インパネ上面形状にボンネットとの連続感を持たせているのも車両感覚の点で有利である。荷室床面は汚れに強い樹脂製であり、後席背面にも同様の処理が施されているので、アウトドアスポーツ&レジャー用途での使い勝手がいい。テールゲートはガラスハッチを備え、買い物などの日常用途の使い勝手も配慮されている。
それでいて、V6を搭載した2.7L車なら231.0万円から、FF2L車ならば169.0万円からの設定なのだ。この価格で、この実力。買い得価格だからといって、決して侮ってはならない。韓流ブームに便乗するわけでもないが、手頃な価格のSUVを狙っているドライバーは要チェックである。