文章:川島 茂夫(All About「ミニバン・SUV」旧ガイド)

キャビンを広くしようとすれば車体は大きくなる。パッケージングの効率化を図っても限界があり、例えミニバンであっても、広いキャビンを求めれば大きくなるのは仕方ない。しかし、ボディが大きくなれば、取り回しや経済性、走行性能は悪化する。問題は、どこでバランスさせるかなのである。そんな疑問を感じている人も少なくないのではないだろうか。
今回の東京モーターショーは商用車を扱うのだが、トヨタのブースには新型ミニバンが参考出品されている。トヨタの弁を借りるならば、「このモデルは乗用と商用を兼用する使い方にも適している」とのこと。それはともかくとして、「ミニバンもいいけどサイズが大きいのはイヤだな」と考えているドライバーには見逃せないモデルなのは間違いない。

車名は「WISH (ウィッシュ)」。内外装の細部や車名のバッヂの造りからして、市販モデルそのものと考えて良いだろう。1.8Lと2Lが用意され、全長4550mm×全幅1695mm×1590mm、ホイールベース2750mmとなっている。
なお、2Lモデルにはスポーティな仕様が設定(2L全車かどうかは不明)される模様であり、オーバーフェンダーの採用やタイヤサイズの違いなどで、全幅が1745mm全高が1600mmに変更されている。また、乗車定員は1.8Lモデルが7名なのに対して、2Lスポーティモデルは6名となる。6名定員仕様はセカンドシートにキャプテンシートが採用される模様。
サイズからミニバンを躊躇しているドライバーにとって、このサイズ設定は実に巧みである。いわゆる5ナンバーサイズ。平面寸法はプレミオ/アリオン程度であり、しかも全高は1.6mを切っている。1.55m以下にならないと、ゴンドラ式駐車場での使用制限を受ける可能性はあるが、1.6m以上に比べると制限される範囲は狭まり、都市部での使用が多いドライバーには、これは福音となるだろう。

ちなみに、品のない言い方になるが、ウィッシュをして「ホンダ・ストリーム潰しモデル」といった言い方をする人も少なくないようだが、それは一理も二理もある。ストリームの全長は4550mm、全幅は1695mm、全高は1590mmである。大まかなサイズ設定ではウィッシュのほうがホイールベースが30mm長いだけである。
だからといって、「ストリームの真似っこ」という気はさらさらない。もともと、そういったサイズ設定は初代のイプサムの考え方であり、国産ミドルセダンから乗り換えやすい多用途ワゴン型のミニバンとして開発されている。しかし、多くのユーザーの居住性への不満に対応する形で、現行イプサムではサイズアップを図ったのだ。いわばウィッシュは初代イプサムの開発コンセプトの正当な後継モデルともいえるのだ。
余談ながら、ウィッシュはトヨタの車種体系ではガイアの実質的な後継モデルと考えられる。周知のとおりガイアは初代イプサムをベースにキャビン長を延長。初代イプサムとの関係では上級発展モデルとなっていたが、現行イプサムとウィッシュでは、それが逆転することになる。