文章:川島 茂夫(All About「ミニバン・SUV」旧ガイド)

環境性能と低燃費で大きなアドバンテージを持った動力源として脚光を浴びているのがハイブリッド・システムである。エンジン(内燃機)と電動モーターを組み合わせて、双方の最も効率のいい部分を使い分ける、あるいは協調させるのが特徴といわれる。それは大きな長所なのだが、もうひとつの見逃せない特徴が、減速時のエネルギー回収である。電気自動車では(電車も)減速に、発電機の負荷を利用するのが常識。スピードも落ちるし、発電により電気も回収できるので、一石二鳥なのである。ここで回収したエネルギー(電気)を、再び動力として使うには、電動モーターが必要である。これはハイブリッド車も同じ。回生ブレーキによって得た電気エネルギーの再利用はハイブリッド車の燃費性能の大きな長所のひとつである。従って、渋滞路などのように、頻繁に加減速を行うような状況では、とくに燃費のアドバンテージが大きくなる。
トヨタは約4年前に量販乗用車としては世界初となるハイブリッド車、プリウスを市場にリリースしているが、その第2弾として開発されたのが、エスティマ・ハイブリッドである。ふつうならば、プリウスのシステムの移植あるいは同様のシステムを用いると考えるだろうが、実はまったく別のシステムを採用している。
プリウスのシステムはかなり特殊なものであり、変速なしで、無段変速ごときの走りをしたり、クラッチもないのにエンジンが掛かった状態で停止していることもできる。発電器の負荷がモーターとエンジンの動力バランスを採ったり、それまで遠く発表されていたハイブリッドシステムにはない特徴が数多く見られる。この構造と制御システムをちゃんと説明するのは、かなり煩雑になるので割愛するが、流用や転用が難しいシステムなのは間違いない。
これに比べるとエスティマのものは単純である。エンジン部に発電機(回生)兼用のモーターを設置。後輪にも、専用の発電機兼用モーターが設置されている。ハイブリッドFFに、電動後輪駆動ユニットを付けた4WDといった構成なのだ。フロント部のエンジンとモーターによって発生した動力は、ベルト式のCVTによって伝達される。パワーバランスはエンジンがメインで、モーターがサブという設定。

CVTにかかる負荷を小さくするために、発進時わずかな時間、モーターのみの走行を行うが、他は大きなパワーを必要とする時のパワーアシストを行う。モーターのよるパワーをアシストを前提とするため、エンジンは通常の乗用車では考えられないくらい徹底的な省燃費設計が施されている。また、後輪用の駆動ユニットは、滑りやすい路面で前輪がスリップした時の駆動力向上以外はほとんど駆動せず、もっぱら回生ブレーキ用に用いられている。
と、まあちょっと堅い話になってしまったが、要するにプリウスが電気自動車寄りのハイブリッドならば、エスティマはガソリンエンジン寄りのハイブリッドなのである。