「住宅エコポイント」「フラット35S」、どちらも期間延長の方向へ
8月4日には「経済の体温計」といわれる長期金利が1%を下回り、8月24日には景気の先行指標である日経平均株価が9000円割れし、さらに翌25日にはドル円レートが1ドル=83円台をつけるなど、持ち直してきているはずの我が国景気に急激な「下振れリスク」が意識されるようになりました。先行きをめぐる不確実性がこれまで以上に高まったのでした。
その一因として考えられるのが米国経済の悪化懸念です。同国の中央銀行に当たるFRB(米連邦準備理事会)の議長が「経済見通しは異常なほど不透明」との認識を示したことに端を発し、市場は激しく動揺しました。潜在成長率と実質成長率の差を示すGDP(国内総生産)ギャップの拡大に伴い、米国までもがデフレに陥る可能性が出て来たのです。
加えて日本に話を戻すと、民主党は8月30日で昨夏に行われた衆院選の大勝から丸1年を迎えましたが、一転、今年7月の参院選では惨敗となり、再び「ねじれ国会」が出現しています。さらに追い討ちをかけるように、党内では「菅」VS「小沢」といった対立の構図が露見し、政策不信・政局不安を助長しています。これでは、せっかく回復しつつある景気を腰折れさせてしまいかねません。そこで、事態を重く見た政府は8月30日、追加経済対策の基本方針を発表しました。その骨格となるのが、(1)雇用、(2)投資、(3)消費、(4)地域の防災対策、そして(5)規制・制度改革の前倒し —— の5本柱です。
今回、(3)消費の基盤づくりとして、
時限措置である「住宅エコポイント」と「フラット35S」の延長を講じることが基本方針に盛り込まれました。フラット35Sとは、一定の高耐久住宅を取得した場合にフラット35の借入金利を当初10年間、1.0%引き下げる優良住宅取得支援制度のことです。2005年のスタート時は「当初5年間、0.3%優遇」だったのが、下表のような段階を経て、現在のようになりました。住宅産業はすそ野が広いため、景気下支え効果が期待できると踏んだのでしょう。現行、2010年12月末までのところを、2012年3月末(2011年度末)まで1年3カ月延長しようとしています。
<追記>9月10日に閣議決定された経済対策に基づき、フラット35Sの適用期間を1年間延長し、2011年12月30日借入申込み受理分までとすることが決定いたしました。
延長費用は「住宅エコポイント」が330億円、「フラット35S」が396億円
これに前後するように、所管官庁である国土交通省は8月27日、2011年度予算の概算要求を公表しました。一般会計予算の総額は5兆7079億円で、2010年度予算比1.02倍となりました。この概算要求に反映させるべく、同省の成長戦略会議では事前に政策提言の重要項目をまとめており、住宅投資の活性化では優良な新築住宅や中古住宅の購入、リフォームなどに対する支援の拡充が盛り込まれていました。
国交省の2011年度予算要求によると、環境配慮への事業として住宅エコポイントの延長・拡充に330億円、フラット35Sの延長などに396億円を要求しています。住宅エコポイントに関しては2010年12月末までとしていた期限を1年間延長し、同時に、環境に配慮した新築やリフォームと合わせて設置する高効率給湯器やソーラーシステム、節水型便器などもポイントの発行対象に加える予定です。
住宅・建築物の省エネ化を加速させることで、住宅市場の活性化につなげたい狙いが痛いほどよく伝わってきます。景気刺激策として一定の成果を出している住宅エコポイントとフラット35Sを延長・拡充することで、成長戦略の実現を図りたいという気概が感じ取れます。
次ページでは参考として、住宅エコポイントとフラット35Sの“人気ぶり”をデータで紹介します。