大不況の今、働く人こそ「心の危機管理」が必要!

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「100年に一度」の大不況の今、働く人の心は未曽有の危機に晒されています。そんな中、どのように心の危機管理をしていけばいいのでしょう? 企業へのメンタルヘルス対策のコンサルティングを行う(株)ハートセラピーの柳原里枝子氏に、話を伺いました。

リスクヘッジとして、メンタルヘルス対策は有効

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メンタルヘルス支援コンサルタント (株)ハートセラピー 柳原里枝子さん

------日本では毎年3万人以上の自殺者が出ていますが、近年は特に、働く人の心が不安定になっていると思われます。

不況の影響もありますし、社員の過労や職務の重責などの問題が生まれやすいですね。でも、メンタルヘルス対策は、積極的に取り組むと心の病のリスクは確実に減ります。

(財)社会経済生産性本部のアンケート調査によると、上場企業の心の病は、2006年までは「増加傾向」という回答が増え続けていたのですが、2008年には初めて減少しました。実は、これは企業のメンタルヘルス対策の効果が表れている所以だと評価されているのです。

------しかし、「メンタルヘルス対策なんて大企業だけ」という印象があります。

たしかに、最初は労働法遵守とCSR(企業の社会的責任)の目的で、「仕方なく」メンタルヘルス対策を開始する企業が多いのが現状でしょう。しかし、現在ではパワハラ改善や離職率低下、業務効率改善などの効果に気づき、積極的に取り組みを進める会社も増えています。

------中小企業ではどうでしょうか?

大企業に比べれば、圧倒的に対策が遅れています。業種によって大きく違いますが、特にシステム開発などIT系企業ではうつ病の発生が深刻です。過労が常態化していて、時間外労働100時間超など、稀ではありません。

また、IT系企業はコミュニケーションが進みにくいこと、長時間勤務になりやすいこと、気分転換をしにくいことなどから、心の問題要因が特に多いです。このような状態では、特に中小企業では次々に退職者が出るので、経営が不安定になりがちです。したがって、IT系企業ではリスクヘッジとして、メンタルヘルス対策に取り組んでおられる会社も多いですね。

メンタルヘルス対策の内容とは

------では、メンタルヘルス対策とは、具体的にどのようなものなのでしょう?

内容はさまざまですが、たとえば次のような支援が行われます。

カウンセリングによって、心の悩みを解決する

カウンセリングによって、心の悩みを解決する

●カウンセリング:カウンセラーが職員の心の悩みを聴き、仕事へのストレスを軽減させる。産業医と連携し、心の病に罹患している職員への定期的なフォローアップも行う。

●セルフケアの支援:セミナーなどを利用し、職員それぞれがストレスのセルフケアの方法(ストレスをためない働き方、考え方、気分転換、コミュニケーション方法など)を身につける。

●管理者への支援:セミナーなどを利用し、部下の心の危機の早期発見、早期対策を目指す。パワハラ防止、ほめ方の講習なども行う。

●リハビリ出勤の支援:心の病で休職した社員の職場復帰を支援する。労働時間制限、環境改善、業務内容制限などを指導し、復帰後の病の再発を予防する。


------心の病の予防と、罹患者のフォローが2大目的なのですね。

そのとおりです。体の病気に比べて、心の病気は本人も周りも気づきにくいものです。カウンセラーが話を聴くことで、リスクの高い人を早期に発見することが可能になりますし、その方に合ったアドバイスもできます。

また、心にとどめていた思いを存分に話していただくことで、その方の働く目的を明確にし、以前より健康的に業務にかかわる支援をすることが、産業カウンセリングの目的です。上司には話しにくい問題、なんとなくモヤモヤしていることなどは、外部の機関に話す方が率直に話せて、気持ちを整理するのによいと考えます。

------でも、カウンセリングには身構える人も多いですね。

最初は、たいてい警戒されます。でも、一度カウンセリングを受けると「モヤモヤの原因に気づいた」などと感想を持ち、心の健康管理の一環としてリピートされる方も多いです。悩み事は、やはり他人にしっかり話すことで、クリアになるのです。「ちょっとしたモヤモヤ」にこそ、いちばん大きな問題が隠れていることが多いので、まずは気軽な気持ちで話し、カウンセラーと一緒に解決の糸口を探していくことが大事ですね。

インタビューを終えて……

ひと昔前の会社には、「メンタルヘルス」などという概念はありませんでした。落ち込んでいる職員には周りが声をかけ、負担が偏らないように、助け合ったり知恵を出し合う風土が自然にあったです。

しかし、90年代後半頃から職場のIT化の進展、成果主義の導入、過度の競争化などどによって、業務自体もチームで連携せず、個人で黙々とこなすワークスタイルが増えてきました。その結果、気軽な会話や助け合い、気分転換、発想転換の機会は、確実に減少しています。こうしたことが、仕事のストレスを増やし、職場で起こる小さな問題を大きくしています。問題が起こると1人で悩みを膨らませ、心の病、退職、究極では自殺というリスクまで生んでしまいます。

メンタルヘルス支援は、こうしたトラブルを「小さな火種」のうちに発見してケアし、またよりよい職場環境、業務体制へと改善するサービスとして、現在注目されています。外部の機関だからこそ、職員も気軽に利用ができ、専門的なアドバイスが行えるという利点もあります。働く人の心の病の予防に、今後はますますその役割が期待されそうです。

お話を伺った方
株式会社ハートセラピー  代表取締役 柳原里枝子さん


メンタルヘルス・コミュニケーションなどのセミナー講師や、カウンセリング、復職支援・企業へのメンタルヘルス対策支援などを行う。親しみやすい中にも毅然とした姿勢がある研修やカウンセリングに定評がある。産業看護師・産業カウンセラー・第1種衛生管理者。

最終更新者:大美賀 直子 (更新日:2009年10月05日)

健康管理

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