今回は建築家が自らの建築を語った本を紹介します。 住宅専門誌に載っている難しい文章から、建築家というと遠い存在に感じてしまったり、気難しい人のイメージをもつ方が多いようですが、これらの本を読めばそれが杞憂だと分かります。
ベテラン建築家の手法を知りたい方に
中村好文 普通の住宅 普通の別荘
中村好文
「普通のもの」をキーワードに、30年にわたって住宅をつくり続けてきた建築家・中村好文さんが手掛けた、住宅と別荘ほか15作品を紹介しています。住人や中村さんが映り込んだ写真家・雨宮秀也さんの写真からは、それぞれの家の温かな空気が伝わってきます。中村さんのエッセイ「普請の楽屋裏」や、施主とのインタビューも必読です。
住宅読本
中村好文
住宅設計の第一人者、中村好文さんが考える「心地よい住まい」に必要な12の条件を、カラー写真と中村さんが描いたイラストでわかりやすく解説しています。多少の散乱ぐらいでへこたれない大らかな台所、階段の手摺の手ざわりのよさ、格式張らない床の間のような場所など、住宅を形ではなく暮らしの内側から考えた本です。
箱の家 エコハウスをめざして
難波和彦
「都市住宅を、最低限の性能を最小限の要素によって造る」というコンセプトのもと、1995年に誕生した難波和彦さんの「箱の家-1」。「箱の家」シリーズも既に100戸を超えた段階で、いかにして「箱の家」を「サスティナブル(持続可能)なエコハウス」へと進化させていったかを、設計実例を通して分かりやすく解説しています。
箱の構築
難波和彦
2001年にギャラリー・間で開催された「難波和彦展」に併せて出版された作品集です。「箱の家」シリーズも、その数の増加とともに、 戸建てから集合住宅への計画も模索されています。また、若手建築評論家、建築家、建築史家と難波さんの示唆に富む対談も収録されています。巻末の「箱の家」シリーズの写真・データ・コメント付きのリストは圧巻です。
箱の家に住みたい
難波和彦
今や難波和彦さんの代名詞となった「箱の家」について著した初めての本。吹抜けをもつ一室空間、ドアのない子供部屋、コンパクトだが大きく見える箱型のデザイン、現在の技術水準を反映した構造、ローコストで高性能、家族の変化に対応する柔軟なプランなどなど、「箱の家」がめざす新しい住まい方の提案が満載された、「箱の家」の入門書です。
住風景を創る
居場所のかたちと空間作法
益子義弘
大学在学中に、友人から親の家の設計を依頼されたことに始まり、以後40数年、住宅設計を主な仕事としてきた益子義弘さん。自身が設計した18件の住宅を例にとって、その取り組みから得た貴重な経験と視野を語っています。フリーハンドによる味わいと温もりのある図面が、人に優しい家づくりを彷彿とさせます。
大きな暮らしができる小さな家
永田昌民
これまで長年にわたって自ら「小さな家」に住み、「小さな家」を設計してきた住宅建築家・永田昌民さん。氏が提案する、「メンテナンスすることで愛着を持って住み続けていける家づくり」についての必須のノウハウが、写真と手描きの図面とともに紹介されています。
室伏次郎 いい〈家〉をつくりたい
室伏次郎
ベテラン建築家、室伏次郎さんの30年に及ぶ設計手法をまとめた住宅論です。住宅雑誌編集者・植田実さんによる、室伏さんが設計を手がけた住宅の施主へのインタビューと、氏による設計コメントが記されています。また、室伏さんと施主3人との住宅観の対談も掲載。巻末にはデビューから今日に至る住宅作品115軒のデータを収録しています。
竹原義二の住宅建築
竹原義二
モダンでありながらも、日本の伝統的な建築工法を駆使し、高い精度で建築をつくり続ける竹原義二さんの住宅建築15作品を詳細に紹介た作品集です。これまで評論されてこなかった「竹原建築の粋(すい)」を解説した、建築史家・藤森照信さんと建築家・花田佳明さんによる竹原論や、事務所立ち上げから、近作まで一覧できる150作品の作品データが収録されています。
無有
竹原義二
自然素材の現代的な使い方や、独特の空間構成による住宅で注目の大阪の建築家・竹原義二さんの初の作品集。自身の発想の源である「日本の伝統空間との出会い」を語ったエッセイと共に、自邸となる「101番目の家」をはじめ主要15作品を、キーワードと無有建築工房が丹念に描き上げた手描き図面を交えて詳しく解説しています。
自邸を建築家みずから語った本
住みこみ
戸田晃
建築家・戸田晃さんの自邸を公開した本です。コンクリート打放しの現代建築でありながら、古い建具や床材などが随所に使われていることで、懐かしささえ感じさせる戸田邸。「家は建てて完成ではなく、住んで育てるもの」という、住みこんでいくことの大切さを、さりげなく教えてくれます。
街角のちいさいおうち
岩岡竜夫
まるで絵本のような装丁の小さな本。東京駅からわずか2kmの奥に細長い土地に、自らの設計で建てた岩岡竜夫さんの「都会の小さなおうち」の物語。12のエピソードで土地の購入、設計、完成、入居までの経緯が、シンプルなイラストや図面を交えて、やさしい文体でつづられています
。
両親と祖母の家をつくる
井上搖子
芦原義信賞を受賞した建築絵本シリーズ「くうねるところにすむところ」の中の一冊。設計事務所アトリエ・ノットを主宰する建築家・井上搖子さんが、実家であるご両親と祖母の住む家の建て直しを設計することに。その過程を、手製の粘土のジオラマや紙で作った模型を使って、丁寧に思い起こして書いた絵本です。
若手建築家の発想を知る
堀部安嗣の構築
堀部安嗣
若くして住宅作家として多くのファンをもつ堀部安嗣さん初の作品集です。木、石、シックイなどの自然素材の質感を活かした美しいディテールが住空間の豊かさをつくりだし、見る者の五感に確かな存在感をもって訴えかけてきます。自ら撮り下ろした写真と、描き下ろしのドローイングでつづられた、堀部さんの世界観が凝縮された一冊です。
サイドウェイ 建築への旅
廣部剛司
音楽や芸術に造詣の深い新進の建築家・廣部剛司さんは、20代最後の年に修行時代の最後の締めくくりとして、世界の建築を訪ねる旅に出ることを決意。「建築家がどのような葛藤と努力を経て、それらの素晴らしい空間を実現してきたのか」を探った8カ月におよぶ旅の記録を、撮り下ろしの写真とスケッチとともにまとめたエッセイ集です
。
「小さな家」の気づき
塚本由晴
小さいことをポジティブにとらえて設計した「ミニ・ハウス」「アニ・ハウス」で建築界の話題をさらった、気鋭の建築家・塚本由晴さんの初めての著書。敷地論、小屋論、戸建て住宅論、アパート論、週末住宅論など、住宅地として困難な環境を肯定的に捉える設計手法を明らかにしています。
手塚貴晴+手塚由比 建築カタログ
手塚貴晴+手塚由比
ロンドンから帰国して設計活動を開始してから2005年までの住宅を収めた手塚夫妻の作品集。極限まで削ぎ落とされた作品解説や、写真には説明を入れないという徹底した編集方針からは、「わかりやすいこと」「居心地の良いこと」「今までにない価値を提案できること」を追求していきたいという、二人の真っ直ぐな姿勢が伝わってきます。
手塚貴晴+手塚由比 建築カタログ2
手塚貴晴+手塚由比
前著の続編となる手塚夫妻の作品集。住宅と共に、日本建築学会賞を受賞した「ふじようちえん」から「箱根彫刻の森 ネットの森」までの2006年以降の19作品が収録されています。本書には46ページにわたる「ふじようちえん」のスケッチをはじめとした手描きによる詳細図面を多数収録され、手塚建築の舞台裏を知ることができます。
きもちのいい家
手塚貴晴+手塚由比
手塚夫妻の初の作品集。屋根を居間にしてしまった「屋根の家」、雨でもベランダでお茶を楽しめる「軒の家」、海に向かって大きな開口部が広がる「メガホンハウス」、引戸を開けると16メートルの縁側になる「縁側の家」といった、そのユニークな発想で話題をさらった二人の住宅作品8軒を、写真と模型とスケッチで解説しています。