乳腺炎/乳腺炎の基礎知識

乳腺炎の症状……乳管閉塞による軽い詰まりや乳房膿瘍など画像で解説

乳腺炎の定義は、乳房に発赤、腫脹(はれ)、発熱、疼痛(痛み)があり、授乳機能に支障をきたすこと。症状には、軽い乳管閉塞で乳腺が腫れて痛い状態(うつ乳)から、乳腺の細菌感染が周りの組織に広がり乳房膿瘍の状態になったものまで、段階があります。

赤岩 明

執筆者:赤岩 明

妊娠・出産ガイド

 

正常の乳房の状態と乳腺炎の症状の仕組み(乳腺閉塞)を画像で解説

乳腺炎の症状…乳管閉塞や乳房膿瘍など段階別

正常な乳房の画像。乳管の閉塞がきっかけで乳腺炎の症状が出る

普段の腺房と乳管洞はしぼんでいます。 赤ちゃんの授乳により乳首を吸う刺激で、腺房の中に母乳が作られ、腺房の周りにある小さな筋肉が、キュッと収縮して、母乳を押し出します。乳管の出口近くに伸び縮みする乳管洞があり、赤ちゃんが大きく口を開け、くわえて吸う(吸啜)ことで、母乳を飲みます。
【画像・写真】乳管の閉塞が乳腺炎の症状が出るきっかけになる

乳管の閉塞が乳腺炎の症状が出るきっかけになる

この乳管の出口(乳口)は5~10個ほどあり、乳管の閉塞が乳腺炎のきっかけになります。
 

乳腺炎の症状には、軽度から重度まである

乳腺炎とは乳腺の炎症のことで「乳房に発赤、腫脹(はれ)、発熱、疼痛(痛み)があり、授乳機能に支障をきたすこと」が定義です。

乳管が軽く詰まり、乳腺が腫れて痛い状態 (うつ乳)の症状から、乳腺の細菌感染が周りの組織に広がり乳房膿瘍の状態になった症状まで、いろいろな段階があります。

しかし、授乳中のお母さんが、おっぱいに痛いしこりを感じてから、どれだけ悪くなったら乳腺炎、という明確な境目はありません。お母さんが、いつもと違う、何だかおかしいと思ったら、乳腺炎になりかけているかもしれません。

多少の乳房トラブルは誰にでもあることです。授乳を続けながら、食事内容などに注意をすれば、たいていは自然に回復していきます。

ですが、初めは少しのきっかけだったものが、いろいろな要因が重なるうちに切開排膿(乳房に切開を入れて膿を出す)が必要な状態になることもあります。切開だけはなんとしても避けたいし、予防できるものです。
 

乳腺炎の医学的な症状別分類

■乳汁うっ滞(うつ乳)
乳房の一部の乳腺からの乳汁の流れが悪くなり、濃縮した乳汁の塊が乳管を閉塞し、その乳腺が腫れて痛いという症状。少し熱っぽく感じます。この時期であれば、授乳を続け、食事内容と十分な休養に注意をして生活すれば、たいていは自然に回復していきます。適切なマッサージであれば症状が改善します。

■非感染性炎症
乳房の一部が腫れて痛い、皮膚の一部が赤い、発熱する(体温が38.5度前後になることもあります)とういう症状。授乳は少しつらいけれども、乳汁うっ滞と同様に、授乳を続け、休養や食事内容に注意するだけで自然に改善することも多いですが、医師・助産師の診察を受けるのも良いと思います。また、適切なマッサージであれば改善することもあります。

■急性細菌性感染症
乳房の全体が腫れて、皮膚が赤くなり、とても痛いという重度の症状。39度以上の発熱、悪寒(寒け)、身体の震えを感じたら、細菌感染が乳腺周囲に及んで、乳房膿瘍(乳腺の周囲組織に膿が溜まる)になっている可能性があります。この状態になると、通常の対処やマッサージでは解決できないので、病院での治療が必要です。状態改善のためにも、授乳を続けるべきですが、医師によっては、授乳を止めるように指示されることもあります。詳しくは「乳腺炎の治療」で説明します。
 

治療から見た乳腺炎の症状分類

■乳腺炎なりかけ
軽いうつ乳の状態で、乳房のしこりや痛みなどの症状はあるが、全身状態は変化のないものです。授乳を続け、適切な対処をすれば改善します。多くの場合、医学的治療は必要ありません。

■本格的乳腺炎
乳房の症状に、38℃以上の発熱、倦怠などの全身症状を伴っており、非感染性と急性細菌性のいずれの場合でも起こります。医学的治療(解熱鎮痛剤・抗生物質)を必要とする状態ですので医療機関の受診が必要です。保険診療が適応されます。熟練助産師による、適切なマッサージなら改善する場合もあります。

■重症乳腺炎
急性細菌性感染症が持続したり、乳房膿瘍になった状態。点滴治療、時に入院治療、切開排膿などが必要になります。保険診療の適応です。

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