ローコストキャリアとは 21世紀はLCCの時代
LCCの台頭で空の勢力図が塗りかえられている
近ごろ話題に上るローコストキャリア、略してLCC。格安航空会社をさしますが、日本ではまだ聞きなれない言葉です。しかし欧米では90年代あたりを境に順調に利用者数を伸ばし、空の勢力図を次々と塗り替えてきました。とりわけ、2001年米国同時多発テロの影響や原油高による航空事業の悪化が、空の再編を促し、大手航空会社の合従連衡が進んだのは記憶に新しいところです。
おもに米国本土や欧州域内でシェアを伸ばしてきたLCC。しかし近年では、アジア大交流時代(経済発展著しいアジア・太平洋地域の中間層が観光や商用で域内を頻繁に往来する時代)に突入したこともあり、アジア域内を席巻する新興航空の姿が目立つようになりました。21世紀は、まさにローコストキャリアの時代といえるのです。
ノーフリル 機内サービスを有料化することで格安を提供
徹底的なコストカットで知られるローコストキャリアは、機内サービスのほとんどを有料化しています。フリルもしくはフリンジと呼ばれる輸送以外の飾り気を、一切なくしているのが特徴です(=ノーフリル)。
機上の愉しみ機内食や飲み物がすべて有料となるLCC
具体的には、機内食やアルコールを含む飲料、毛布や枕、イヤホン、新聞雑誌類などが有料で、それぞれ機内で所定の料金を支払うことでサービスが受けられる仕組み。もちろんマイレジがつかないものがほとんどです。従来の「空のラウンジ」「機上のホテル」というイメージを覆しましたが、破格の安さで消費者に還元してくれる点で、ローコストキャリアは大いに支持されているのです。
また、市中にリアル店舗を持たず、インターネットによる予約販売が一般的です。航空チケットはすでにペーパレス化が進んでいますが、こうした点でも経費の削減努力をしているのです。
徹底したコストカット 沖どめやスタッフの多能工化も
タラップからの搭乗は旅情をさそう
さらにボーディングブリッジ(搭乗橋)は使用料がかかるため、タラップ(階段)を使用して搭乗させるのもローコストキャリアの特徴。搭乗者は駐機場部分にいったん降り立つため、機材をバックに記念撮影する旅行者の姿も。いわゆる沖どめをする点で、発着枠に余裕がある日本の地方空港にも就航の機会が今後は増えることでしょう。
機材の購入費用や人件費もカットしていることから、安全性を心配する人も少なくないでしょう。パイロットの年収がマクドナルドの店員よりも低いことを揶揄した映画が、米国で大ヒットしました。スタッフは制服をつけず、私服姿で機内サービスをするなど、その徹底ぶりは目をみはるばかりです。
ローコストキャリアの従業員の現場では、複数の業務を受け持つ多能工化が進んでいます。そして少ない給料でもモチベーションが上がる工夫を、航空会社側が与えている点も見逃せません。空の安全をないがしろにすることは、顧客離れ、ひいては経営の根幹を揺るがしかねないことから、就業規則などをたびたび見直す航空会社もあります。
域内を網の目に結ぶLCC 乗継ぎ利用にも重宝する
域内ゲートウェイからの乗り継ぎにも便利なLCC
かつての大量輸送時代に栄華を誇ったジャンボジェット機は姿を消し、空の世界では多頻度小型化が主流になり始めました。燃料積載に限界があることから、ロングフライトではなく、域内で往来するのがローコストキャリアの特徴です。
ゲートウェイ(玄関口)となる都市へは従来の大手航空会社を利用して、長距離を。そして乗継ぎ便や域内移動にのみ、ローコストキャリアを利用する人も多く見受けます。ちなみに利用するエアラインによっては、座席指定ではなく予約定員の自由席制を採用しているケースもあるので、グループや家族連れ、そしてアツアツの新婚カップルは特に注意してください。