鉄道/鉄道デビュー・開業情報

成田スカイアクセスvs新型NEXの熱き戦い

最速36分を謳い文句に颯爽とデビューした成田スカイアクセス経由の新型京成スカイライナー。山本寛斎氏がデザインした車体やインテリアが話題になっている。新たに開業した新路線を時速160キロですっ飛ばす快適さに人気も上々だ。それを迎え撃つのが、JR東日本の成田エクスプレス。車両をすべて新車に置き換え、車内設備もグレードアップ。新駅開業などで利便性をアピールする。さて、どちらに乗るべきか?

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

速い成田スカイアクセスと、機動力の成田エクスプレス

颯爽とデビューした新型スカイライナー

颯爽とデビューした新型スカイライナー

成田空港への鉄道アクセスが快適になった。まずは、7月17日に開業した成田スカイアクセス。斬新なデザイン新車両を使った京成スカイライナーが新規に開通した路線を経由して、都心と成田空港を「36分」で結ぶようになった。在来のスカイライナーが51分(日暮里~空港第2ビル)、JRの成田エクスプレスが最短50分(東京~空港第2ビル)だったから、この時間短縮は画期的なことだ。では、なぜ短縮が可能になったのか?
(最短○○分という場合、少しでも短時間をアピールするため、成田空港の一つ手前の空港第2ビル駅までの所要時間で宣伝している)

成田スカイアクセス線の開業

車内のモニターでも新ルートが案内される

車内のモニターでも新ルートが案内される

従来のルートを見てみると、JRの場合、東京駅から総武線で千葉、佐倉を経て、成田線を通って成田空港まで79.2km、京成本線は、船橋、八千代台経由で69.3kmである。新規開業したスカイアクセス線は、いずれよりも短く64.1kmである。

車内のモニター画面から見た新規開業区間

車内のモニター画面から見た新規開業区間

スカイアクセス線とは、従来の北総線(京成高砂から分岐)の終点・印旛日本医大を東に延長し、ほぼ直線で成田空港に達している。印旛沼をかすめ、全線高架で踏み切りはなく新幹線並みの高規格で造られた路線である。京成線・北総線は、線路幅が1435mmと新幹線と同じであり、安全対策も万全なので、新規開業区間に限って最高速度は160kmまで出せる。在来線としては、第三セクターほくほく線(越後湯沢と金沢を結ぶ特急「はくたか」を運行)と肩を並べて、日本最速である。

なお、新規開業区間は、北総鉄道ではなく、成田高速鉄道アクセス と成田空港高速鉄道が線路と施設を保有し、京成電鉄が使用料を払って運行のみを担当する上下分離方式をとっている。運行としては、京成高砂~成田空港間が京成成田空港線となり、愛称が「成田スカイアクセス線」と決まっている。

斬新なデザインの新型スカイライナー

新型スカイライナーの車体に描かれたスピード感あふれるロゴ

新型スカイライナーの車体に描かれたスピード感あふれるロゴ

成田スカイアクセス線を走る最優等列車は「スカイライナー」である。車両は今回新たに製作されたもので、著名ファッションデザイナーの山本寛斎氏がデザインを手掛けた、初めての鉄道車両となった。「風」と「凛」をコンセプトに、スピード感あふれる斬新なデザインで、先頭から屋根まわりにかけてと車体下部の細いラインが、日本古来の伝統色である藍色を現代風にアレンジしたウィンドブルー、車体全体は、真っ白なストリームホワイトに塗られて、高速列車にふさわしい。

青い座席と白い天井のコントラストが爽やかだ

青い座席と白い天井のコントラストが爽やかだ

車内は、高いドーム型天井で、広々した開放感が際立つ。シートはヘッドレストのカバーが車体と同じ藍色で統一感がとれている。背はメタリックシルバーで機能的なイメージがあり、座席下部にはコンセントが設置され、パソコン使用などに対応する。空港アクセス列車に付きものの荷物置き場は、ドア近くにあり、防犯カメラなどで安心感を与えている。客室とデッキとのドアは窓がないので、閉まっていれば落ち着きを与え、その上にあるモニター画面に集中できる。ここには路線や停車駅情報のほか、走行中の前面展望も映写され、飽きさせない。

スカイアクセス線の車窓から

地下にある京成上野を出発した電車は、地上に出てJRとの連絡駅・日暮里で大勢の客を乗せ、ここでほぼ満席となる。しばらくはカーブが多く、スピードは出ない。青砥で都営浅草線から直通するルートと合流、次の高砂から高架の北総線に乗り入れて、ようやく高速運転となる。千葉ニュータウン内は、ゆったりした敷地内を快走。

車窓左手には印旛沼が見える

車窓左手には印旛沼が見える

印旛日本医大を出ると、いよいよ今回開業した新線だ。高速規格の線路なので、どんどん加速して時速160キロですっ飛ばす。防音壁が少々目障りだが、左手には印旛沼が広がる。唯一の新駅である成田湯川を通過して、単線区間に差し掛かる頃には早くも成田空港到着のアナウンス。

もう少し乗っていたいと思うくらい早い到着だった。なお、この区間には、幾つかの駅に停車していく「アクセス特急」も運転されるが、こちらは普通の通勤電車が使用され、運賃だけで乗車できる。

成田空港に到着すると各国語で「ありがとう」の表示がでる

成田空港に到着すると各国語で「ありがとう」の表示がでる

■スカイライナー
京成上野⇒成田空港 44分(日暮里~空港第2ビルは36分)(一部単線区間があるので、行き違いなどで若干所要時間がかかる列車もある)(途中停車駅は、日暮里、空港第2ビル)運賃=1200円、ライナー料金=1200円

 

今までスカイライナーに使われていた車両は、シティライナー用となる

今までスカイライナーに使われていた車両は、シティライナー用となる

■シティライナー
従来の船橋、津田沼経由で成田空港まで行く列車。京成上野⇒成田空港 74分(途中停車駅は、青砥、船橋、成田、空港第2ビル)運賃=1000円、ライナー料金=920円

■イブニングライナー
京成上野17:59発以降の列車で、青砥、八千代台、佐倉、成田、空港第2ビルに停車。72~79分 運賃=1000円、ライナー料金=400円

アクセス特急用に新造された京成の新型電車

アクセス特急用に新造された京成の新型電車

■アクセス特急
昼間は都営浅草線に直通し、京成上野、日暮里は通らない。浅草線内はエアポート快特となる列車がある。日本橋⇒成田空港の場合、最速69分。停車駅は、東日本橋、浅草、押上、青砥、京成高砂、東松戸、新鎌ヶ谷、千葉ニュータウン中央、印旛日本医大、成田湯川、空港第2ビル
運賃=1280円(日本橋~成田空港)、特別料金不要、但し通勤型車両で運転される。

スカイアクセスを迎え撃つJR成田エクスプレス(NEX)

成田エクスプレスは、全列車E259系に置き換わった

成田エクスプレスは、全列車E259系に置き換わった

長年親しまれたこの車両はついに引退となった

長年親しまれたこの車両はついに引退となった

最速36分には到底太刀打ちできないJRだが、36分というのは、日暮里から成田空港までの時間である。日暮里まで出るのが大変という人も、首都圏南部を中心に多い。

特に横須賀線、東海道線沿線から日暮里へ行くには、どこかで乗り換えなくてはならず、成田空港まで2回乗り換えることになる。大きな荷物がある場合、出発駅から直通で空港まで行けるメリットは計り知れない。2010年3月に横須賀線武蔵小杉駅が開業し、大船や横浜発のNEXも全列車停車するようになったので、恩恵を受ける人は増えた。また、早朝のみではあるが、高尾発の列車も2本あり、立川、吉祥寺など中央線沿線からの直通もある。強力な路線網を活かした対抗策である。

モニターが多いのは航空機内を意識してのことだろうか

モニターが多いのは航空機内を意識してのことだろうか

車両も、すべて新車(E259系)に置き換え、あまり好評とは言えなかったボックス席や集団見合い式座席も、新車では全て普通の二人掛けリクライニングシートとなった。また、荷物置き場もダイヤルロック式の錠がつけられセキュリティーをアピール、車内の天井に何カ所か設置したモニターで列車情報、ニュース、フライト情報を発信しサービスの向上も図っている。

 

セミュリティーも万全なダイヤルロック式の錠が設置された荷物置き場

セミュリティーも万全なダイヤルロック式の錠が設置された荷物置き場

■NEX所要時間・運賃・特急料金
東京⇒成田空港 55~59分、運賃=1280円、特急券=1660円(夏休みや年末年始の繁忙期は1860円)
新宿⇒成田空港 76~90分、運賃=1450円、特急券=1660円(繁忙期は1860円)
横浜⇒成田空港 約90分、運賃=1890円、特急券=2290円(繁忙期は2490円)
三鷹・吉祥寺⇒成田空港 約100分、運賃=1620円、特急券=1660円(繁忙期は1860円)


在来線最速の時速160kmを体感しつつ斬新なデザインの車両に乗れる「成田スカイアクセス」を利用して海外へ飛び出すか、乗り換えを避けてJRのNEXにするか、悩ましいところである。行きと帰りで両者を乗り比べるのも楽しく、それが一番いいかもしれない。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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