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しつけとしての「体罰」は有効か?

しつけとしての体罰は有効か?どこまでが「しつけ」で、どこからが「体罰」なのか?それぞれに見解の分かれるテーマですが、一人の父親として考えてみました。

執筆者:遠藤 雅大

「体罰」は教育か?

All About[男の子育て]アンケート結果
しつけとしての体罰の有効性については見解の分かれるところですが……
「体罰は教育だ。正しい教育論がないから教育荒廃が起こる」

2006年4月29日、「戸塚ヨットスクール事件」での刑期を終えて静岡刑務所を出所したばかりの戸塚校長は、記者会見でこう持論を展開しました。戸塚校長が復帰した同スクールには、今も10代から30代の訓練生が数名いて、入校を希望する保護者がいるといいます。

「しつけとしての体罰は有効じゃない」。僕はそう信じて子育てをしている父親の一人なのですが、体罰については現在も賛否両論があり、ただ単にイエスかノーかで軽々しく論ずることなどできないテーマです。参考までに当サイトが行ったアンケート結果では、体罰について否定的な意見が67%を占めましたが、どこまでが「しつけ」で、どこからが「体罰」なのかという線を引くこと自体、非常に難しいことだと思います。

戸塚校長の「体罰は教育だ」という言葉。本当にそうなのだろうか?僕は子育てに悩む一人の父親として、まずは今から20年以上前におきた「戸塚ヨットスクール事件」について調べてみることにしました。

戸塚ヨットスクール事件の概要

1980年代、愛知県・美浜町にある戸塚ヨットスクールの戸塚宏校長(当時41歳)と同校のコーチら15人が傷害致死罪等で逮捕されるという事件が発生しました。俗に言う「戸塚ヨットスクール事件」です。

戸塚校長は1975年から1976年にかけて開かれた沖縄海洋博覧会記念「太平洋単独横断ヨットレース」を驚異的な記録で優勝し、一躍有名に、その後、1977年、不登校や非行、家庭内暴力等の子供たちを対象に厳しいヨット訓練を通し、健全な精神と肉体を鍛え上げることを基本とした全寮制のヨットスクールを開校。同スクールは鉄拳制裁をはじめとする、いわゆるスパルタ式の指導を行い、多くの子供たちを更生させたとして話題になります。その手法を巡っては当時も賛否両論があり、大きな社会問題ともなっていました。

その戸塚ヨットスクールで1983年、当時13歳だった訓練生を舵棒で殴打し、体罰で体が弱っているにもかかわらず何度も海に突き落とす訓練を続け、ついには死亡させるという事故が発生。後の捜査でこの事件を含む計4人の少年の死亡事故が明るみになり、組織ぐるみの犯行として校長を含む関係者は逮捕されました。

公判では、「体罰は教育の一環なのか?それとも単なる暴力なのか?」を焦点に争われましたが、2002年、最高裁は戸塚校長等に有罪判決を言い渡し、実刑が確定しました。

今からおよそ20年前、事件当時の時代背景として、体罰がどれほど肯定されていたのかを調べ尽くすまでには至りませんでしたが、過酷な訓練と体罰によって引き起こされた悲しい事件であったと思います。

「子育ては甘やかすばかりではいけない。親として、時には厳しく叱ることも必要だと思う。しかしながら、体罰はいかがなものであろうか」

この問題については現在も賛否両論があり、どちらかを完全に否定できるだけの明確な科学的根拠も存在しないのですが、その一方で家庭内でのしつけと体罰の問題は今、過去最悪の深刻な事態となっています。

>>次ページは、急増する児童虐待に警報!
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