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なぜ増えない?認定こども園(2ページ目)

認定こども園制度が法制化されてから1年。意外と増えていないことをご存じですか? 今回はその理由に鋭く迫ります。

猪熊 弘子

執筆者:猪熊 弘子

子育てガイド

現場でのさまざまな問題

幼稚園と保育園が一緒になることで、さまざまな点で複雑に
実際に認定こども園に取材してみると、より具体的な「問題」が見えてきました。

たとえば「直接契約」の問題。認定こども園の特徴のひとつに、園と親との直接契約があります。これまで、自治体の窓口に申し込んでいた保育園の人も、園に直接申し込まなければならなくなります。そこには「保育料」の問題も絡んできます。園の「経営」という観点からみれば、より多い保育料を支払える人を優先して入れたほうがいいに決まっています。でも、それでは経済的な問題があって本当に保育が必要な人が預かってもらえなくなる可能性もあります。そこで、そんな「格差」を無くすため、「直接契約」になっても、自治体からは「必要な子どもを入れるように」という指導があるそう。福祉という側面から見れば当然の配慮ですが、そうなると実質的に「直接契約」になるのは幼稚園部分のみ。「それなら最初から別のほうがわかりやすい」と、ある園の先生は言います。

「別のほうがわかりやすい」のは税務面など、事務的な面でも同じ。たとえば、現在では幼稚園部分と保育園部分の会計を別々に計上しなければなりません。そこで、「給食でキャベツを10個使ったら、何個が幼稚園で、何個が保育園の分か、とわけて報告しなければならない」というような事態が。認定こども園側には二重の事務負担になります。

親たちの戸惑いも

幼稚園と保育園では、親たちの環境も異なります
親たちにも戸惑いが少なからずあります。幼稚園部分の保護者は、平日の日中でも園に来て行事のお手伝いなどをすることができますが、保育園部分の保護者には無理。保護者の間からも「同じ園の保護者なのに、なぜ出る人と出ない人とがいるのか」といった不満が出てきます。父母の会などの活動も、歩みを揃えるのが難しい、と言います。

同じ年齢の子どもを、親の就労条件に関係なく一緒に保育する、という一見理想的な制度も、まだまだ改善の余地がありそうです。
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