高級マンション選びの前に

更新日:2010年06月28日

良質な中古物件の席捲——新築高級マンションの憂鬱

90年代後半以降、大量に供給された新築分譲マンションが中古となって市場に姿をあらわす。質量ともに顧客のニーズに応える「良質な中古マンション」は、新築物件にどう影響を与えるのか。新築の高級マンションを検討するときの注意点は何か。

仲介情報から読み取れる傾向

広告からトレンドを探る

広告からトレンドを探る

週末(6月26日)の朝刊チラシ。大手仲介会社が広告主の16ページからなるタブロイド版が折り込まれていた。このなかは1ページあたり12コマの物件情報が載っている。表紙などを除けば、物件紹介は全部で13ページ。総数にして144物件もの売却希望不動産が紹介されているということになる。

めくっていると、結構な数の中古マンションが掲載されていることに気付く。都心と城南地域を対象に、系列16店舗が取扱っている情報を出しているのだが、低層住宅街が広がる地域を含んでいるにもかかわらず、思いのほかマンションの比率が高いようだ。

数えてみると、マンション件数は77。144に対しておよそ半分を占める。掲載するかしないかの選定は、企業の方針などもあろうから、単純にマーケットを映し出しているとはいい切れない。しかし、首都圏の全世帯のうち、分譲マンション比率が20.19%(2009年時点 東京カンテイ調べ)であることを考えるとやはり相当なシェアであるといわざるを得ない。


完成直後のタワーマンションも

90年後半以降止まらない都心回帰

90年後半以降止まらない都心回帰

さらにこの77物件には、もうひとつ傾向がある。それは築年数の浅い物件が多いこと。平成12年以降の完成物件を数えてみると45物件あった。つまり、中古マンション情報の「60%弱が築10年以内のマンション」であるということだ。

なかには、現在も分譲中の高級マンション「広尾ガーデンフォレスト」「パークコート赤坂 ザ タワー」「二子玉川ライズ タワー&レジデンス」なども含まれている。いずれも500戸~1,000戸級の超大規模であるため、このような現象が起きるのかもしれない。

広告は、目に留まる物件を前面に押し出す。魅力的な商品を優先させるわけで、その意味ではこのタブロイド版のラインナップは、築浅のマンションがいかに人気があるかの裏返しともいえよう。流通量が膨らむ中古マンションと築浅の需要。市場の断片を切り取った実態が、ひとつの広告からも透けてみえるわけだが、新築高級マンションを検討している人にとって、この傾向は見逃してはならない現実である。次のページへ。

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坂根 康裕

「住宅情報 都心に住む」の元編集長。現在は住宅評論家として活躍中。

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