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介護保険料 若者も負担か?

介護保険制度の見直しが進んでいます。現在介護保険料を負担しているのは40歳以上の人たちです。ところが見直し案に「若者からも保険料徴収」がありました。なぜこんな案が出たのでしょう。

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

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介護保険制度は2000年4月に産声を上げ、その際「5年後に制度を見直す」ということが決められました。5年後、そう来年です。

導入から4.5年、介護保険利用者は導入前の予想をはるかに超えるスピードで伸び、約7割もアップしました。今のままでは介護保険制度が立ち行かなくなるのは必至。そこで、「保険料負担対象者の年齢引き下げ」が検討されるようになったわけです。

現在の介護保険の被保険者は
・第1号被保険者:65歳以上の高齢者
・第2号被保険者:40歳以上65歳未満の医療保険加入者
です。

介護保険の被保険者数は、第1号被保険者=約2472万人、第2号被保険者=約4333万人。対象年齢を引き下げると
・30歳~40歳未満:1848万人
・20歳~30歳未満:879万人
・0歳~20歳未満:2462万人
20歳以上を被保険者対象にすると、被保険者数は約50%増加します。

保険料は(国民)健康保険料と一緒に納付

40歳以上65歳未満のサラリーマンは、健康保険料と一緒に給与から天引きされており、介護保険料を納めていると自覚している人は少ないかも知れません。介護保険料率は、政府管掌健康保険の場合11.1%。これを労使折半で負担しています。

国民健康保険に加入している人は、40歳以上65歳未満の人と65歳以上の人とでは保険料の納付の仕方が異なります。
<40歳以上65歳未満>
国民健康保険料=「医療分+介護分」← 一括納付。
<65歳以上の人>
国民健康保険料=「医療分」 
介護保険料=「介護分」 ← 原則年金から天引き納付。

介護サービス給付対象は原則65歳以上

介護保険サービスの給付対象は、原則65歳以上の要介護・要支援認定を受けた高齢者です。では保険料を納付している40歳以上の人たちは?

40歳以上65歳未満の被保険者は、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病などの特定疾病15によって要支援・要介護状態になったときのみ介護保険から給付を受けることができます。要支援・要介護の状態になった原因によっては介護保険料を納付していても介護保険からの給付を受けることができないこともあるのです。

給付内容を見直し

被保険者を増やすだけでなく、介護保険給付を受けている人にもそれなりの負担をしてもらう、また給付内容を変えるということも提案されています。

・施設で介護を受けている人
→「ホテルコスト」(住居費・食費等)として5万円程度を負担してもらう
・要支援・要介護1の人
→筋力向上トレーニングや栄養改善指導などを導入。介護サービス内容の見直し

厚生年金保険料は9月まで13.58%(労使折半)でしたが、10月に0.354%(労使折半)アップしました。今後2017年まで毎年0.354%ずつ18.3%までアップすることが決まっています。国民年金保険料も来年4月から毎年280円ずつ2017年までアップし、16,900円で固定する予定です。この上介護保険料負担が加われば、企業も個人も負担の重さに押しつぶされてしまいそうです。

介護保険の被保険者対象年齢の引き下げ案は、介護保険料の負担増に対し企業が大反対、身体障害者福祉と介護保険サービスの統合に対する反対も強いことから現在のところ導入は見送られる可能性が高いようです。しかし安心するのはまだ早い! 障害者福祉の支援費制度も財源がひっ迫しており改革が待ったなしの状況です。社会保障の負担を広く薄くしたい政府の動向にはよりいっそうの注意が必要です。
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