定年・退職のお金/定年退職前後にやるべきお金の手続き

退職後の健康保険 選択肢は4つ

給与所得者時代には気にとめることが少なかった健康保険料や介護保険料などの社会保険料。では、退職後、組合(政府)管掌健康保険から外れる人はどうすればいいのでしょうか。

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

貯蓄ガイド

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退職後の健康保険の選択肢は4つ

 
給与所得者時代には、気に留めることがあまりなかった健康保険料や介護保険料などの社会保険料。定年退職後も「正社員あるいはパートや嘱託等」で組合(政府管掌)健康保険に加入して働き続けるのであれば、なんら問題はありません。しかし、それ以外の人にとっては大問題! なぜなら、収入が激減する中で、加入する健康保険制度によっては保険料の負担が重くのしかかるからです。

では、退職後、組合(政府)管掌健康保険から外れる人はどうすればいいのでしょうか。選択肢は次の4つです。
  • 家族の健康保険の被扶養者になる
  • 組合(政府)管掌健康保険の任継続被保険者になる
  • 特例退職者医療制度に加入する
  • 国民健康保険の被保険者になる
この中から一つ自由に選べるのかといえばそうではありません。それぞれ加入条件や加入資格、保険料、手続きに必要な書類などについてご紹介します。

家族の健康保険の被扶養者になる

家族に組合(政府管掌)健康保険に加入している人がいれば、加入できる可能性があります。加入手続きは次の通りです。
  • 届出期限 : 原則として退職日の翌日から5日以内
  • 届出先    : 被保険者が加入している健康保険
  • 必要書類 : 被扶養者届け
  • 保険料   : 負担なし
「保険料負担なし」はとっても魅力的です。できればこのコースを選択したいですね。でも、世の中それ程、甘くはありません。このコースは、加入条件がかなり厳しいのです。代表的な条件は次の通りです。
  • 保険者によって生計を立てていること
  • 被保険者と同居の場合は、被扶養者の年収が130万円未満(60歳以上又は障害厚生年金が受給できる人は年収180万円未満)、且つ被保険者の年収の1/2以下であること
  • 被保険者と別居の場合は、被扶養者の年収が130万円未満(60歳以上又は障害厚生年金が受給できる人は年収180万円未満)、且つ被保険者の援助(仕送り)と同等あるいは少ないこと
失業給付を受給している間は「働く意思がある=扶養してもらうつもりはない」とみなされ、被扶養者にはなれません。健康保険組合によっては他にも加入条件を設定していることがありますので、事前に被扶養者の条件を確認する必要があります。

組合(政府)管掌健康保険の任意継続被保険者になる

一定の要件を満たす退職者は、勤務していた会社の健康保険に退職後2年間継続加入することができます。加入条件や手続き等は次の通りです。
  • 届出期限 : 退職日の翌日から20日以内(必着)
  • 届出先   : 加入していた健康保険組合あるいは全国健康保険協会の都道府県支部
  • 必要書類 : 健康保険任意継続被保険者資格取得申請書(扶養者がいる場合は住民票、健康保険被扶養者届、課税証明書か非課税証明書)
  • 保険料    : 「退職時の標準報酬月額あるいは健康保険組合の平均標準報酬月額のどちらか低いほう×保険料率」で算出する(例:平成23年度の全国健康保険協会の任意継続被保険の保険料(含む介護保険料)は30,772円/月)
  • 加入期間 : 2年
会社員時代は健康・介護保険料の1/2を会社が負担しますが、任意継続被保険者は全額自己負担します。だからといって必ずしも保険料が定年退職時の倍になるというわけではありません(前述の保険料を参照)。事前に健康保険を担当する部署で任継続被保険者の保険料を確認することをお勧めします。



特例退職者医療制度の被保険者と国民健康保険の被保険者の説明は次ページで

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