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事例で理解する!離婚時の年金分割

2007年4月から実施された離婚時の年金分割について、すこし踏み込んだ内容をQ&Aでみていきます。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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やっぱり(?)女性からの請求が多かった離婚時の年金分割
スタート前から関心の高かった離婚時の年金分割。離婚時の年金分割ができるようになったのは今年の4月からですが、社会保険事務所や年金相談センターなどでは昨年10月から年金分割に関する相談を行っていました。昨年10月から今年3月までに寄せられた相談件数は3万件超。その80%近くが女性からの相談でした。

そして制度がスタートした2007年4月。1ヶ月間に行われた年金分割の請求手続きは全部で293件。内訳をみてみると、女性からの請求が218件、男性からの請求が75件と、こちらも圧倒的に女性からの請求が多くなっています。相談件数も4月の1ヶ月間で11,957件と、3月に比べて4,000件以上増えています(社会保険庁HPより)。

制度がスタートして2ヶ月が過ぎ、なお関心が高まる離婚時の年金分割。年金分割の基本的な仕組みは、すでにこのサイトでもご案内しました(「離婚した場合、年金は分割されるの?」参照)。今回は、1歩踏み込んで「こんな場合はどうなるの?」という視点からQ&A方式で、離婚時の年金分割をみていきましょう。
 

専業主婦と会社員の夫婦が年金を受給する前に離婚したら?


Q:
妻は専業主婦で第3号被保険者、夫は会社員で厚生年金に加入する第2号被保険者です。夫婦ともに年金を受給する前に離婚すると、年金はどのように分割されますか?
A:
この場合、婚姻期間中に厚生年金に加入しているのが夫のみなので、分割の対象となるのは夫の厚生年金の保険料納付記録です。結婚から離婚までの夫の保険料納付記録のうち、話し合いなどにより最大で2分の1までが妻に分割されます。なお、結婚前や離婚後の保険料納付記録は分割の対象外なので、夫の年金の全てが半分になるわけではありません(下図参照)。
 

このように、妻が厚生年金の被保険者でない期間に夫から保険料納付記録の分割を受けた期間を「離婚時みなし被保険者期間」といいます。したがって、この期間は妻は厚生年金に加入していたものとみなされます。

ただし、離婚時みなし被保険者期間は、年金額のみに反映するもので、通常の厚生年金の被保険者期間と違って、年金の受給資格期間に加えることができません。つまり、妻は自分自身の加入期間だけで受給資格期間を満たす必要があります(この例の場合は、第3号被保険者であったため納付済期間となります)。

通常、受給資格期間を満たして、厚生年金加入期間が1年以上あれば、生年月日によっては60歳~65歳まで特別支給の老齢厚生年金をもらうことができます(支給内訳と支給開始年齢は生年月日により異なります。詳細は「年金はいったい、いつからもらえるの?」参照)。

ただし、この「1年」の要件には「離婚時みなし被保険者期間」は含まれません。つまり、自分自身の厚生年金期間は1年なく、離婚時みなし被保険者期間で1年以上となる場合は、特別支給の老齢厚生年金をもらうことができません。そのような場合には、65歳になってから、離婚時みなし被保険者期間(妻自身の加入期間があればその期間を合わせて)を元に計算した報酬比例の老齢厚生年金が支給されます。離婚時の年金分割によって、年金の支給開始年齢が変更されることはないのです。

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