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海外の公的年金制度~ヨーロッパ編

海外の公的年金制度第2弾。アメリカの年金制度に続いてヨーロッパの年金制度のご案内です。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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海外の公的年金制度第2弾!今回はヨーロッパを取り上げます
アメリカの公的年金制度の紹介に引き続き、今回はヨーロッパの公的年金制度をご紹介します。ヨーロッパの公的年金制度のうち、独自の年金制度を持つスウェーデン、在留邦人がヨーロッパでもっとも多いイギリス、イギリスに次いで多いドイツの3国の制度を取り上げてご案内します。

<INDEX>
スウェーデンの公的年金制度
イギリスの公的年金制度
ドイツの公的年金制度
ヨーロッパで生活する場合は?

スウェーデンの公的年金制度

現在のスウェーデンの年金制度は1999年にスタートしました。はじめに、そのしくみをみていきましょう。

●年金制度の基本的なしくみ
スウェーデンの公的年金制度は通称「スウェーデン方式」と呼ばれており、職業や年齢にかかわりなく一定水準以上の所得がある人は保険料の負担が義務付けられています。保険料は所得に保険料率をかけて計算しますが、計算に使用する保険料率は18.5%に固定されていて、その範囲内で給付を行う「自動財政均衡メカニズム」が導入されています。自営業者は保険料の全額を自己負担し、会社員など被用者は事業主と被保険者本人で負担します。

スウェーデンの公的年金制度は、所得比例年金だけでなく財源を全額税金とする最低保証年金があります。最低保証年金とは、所得が一定水準に満たないなどの理由で保険料を負担していない人も一定額の年金を受給できるように年金の財源を全額税金としています。
 
【スウェーデンの公的年金制度】

スウェーデンの公的年金制度は、保険料の負担に応じた保険料を財源とする所得比例年金と税金のみを財源とする最低保証年金という2つの制度を併用した「スウェーデン方式」と呼ばれる独自の制度になっています。

●年金支給のしくみ
スウェーデンの公的年金制度から支給される主な年金は老齢年金です。1999年の年金制度改正時に障害給付は老齢年金と切り離した別の制度から支給されるしくみになりました。

それでは、老齢年金の受給資格からみていきましょう。保険料を財源とする所得比例年金には受給資格を満たすための最低加入期間がありません。1回でも保険料を納付したことがあれば年金を受給することができます。税金を財源とする最低保証年金は、スウェーデンの居住期間が3年あれば受給資格を満たすことができます。

年金の支給開始年齢は所得比例年金も最低保証年金も原則65歳ですが、日本の公的年金制度と同様に70歳まで支給を繰り下げることができます。所得比例年金は61歳から繰り上げて受給することもできますが、最低保証年金は支給開始年齢を繰り上げることはできません。

年金の支給額は、所得比例年金の場合、平均賃金、退職時の年齢集団の平均余命と将来の平均賃金の上昇から予想された基準を用いて決定します。最低保証年金は、物価基準額の何倍の所得比例年金を受給することができるか、そしてスウェーデンの居住年数が何年間であるかをベースに計算します。計算式は、年金の受給者が単身者なのか夫婦なのかで異なり、また、一定水準以上の所得比例年金を受給できる人には最低保証年金が支給されません。なお、スウェーデンの居住年数が40年以上だと満額の最低保証年金を受給することができます。

スウェーデンの次はイギリスです(次ページへ)
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