文章:上野 博美(All About「マネープラン入門」旧ガイド)
年金制度、若者はソン? 
このところよく言われている年金制度の
不平等に
世代間格差があります。
若い人ほど、保険料支払総額に対する受取年金総額が少なくなり、年代や年収によっては、平均寿命まで生きたとしても、
受取年金額の合計が
支払い金額の合計よりも少なくなるケースがあるなどといわれています。
それに対して、厚生労働省は、現在0歳の赤ちゃんでも支払い保険料の1.2倍の年金がもらえるという試算(保険料率、最終的に18%と想定)を出しています(注)。
しかし、これはモデルケースの場合で、単身者や共働きなどでは、支払い保険料の方が多くなるという試算が様々なところから出されています(このような試算は、会社と個人が支払った合計保険料に対しての元本割れで、個人の払った保険料に対するものではありません)。
受取年金額が支払い保険料よりも少ない、いわゆる“元本割れ!”などという見出しを見ると、「損!」と思ってしまうのが人情ですが、本来、
年金制度は損得で考えるものでなない制度です。
賦課方式 自分の老後資金は自分で作ることができるという人ばかりだとすると、年金制度は必要ありません。ところが、病弱で働くことができずに老後資金を作ることができないという場合もあります。きっとそのような人は、子供に援助を頼むでしょう。しかし、子供がいない人はどうすれば・・・。こんなことから、この
助け合いの仕組みを社会で作りましょうというのが、今、
日本を含む多くの国で採用されている賦課方式という
年金制度です。現役世代が引退世代を助ける
「世代間の助け合い制度」です。
この
賦課方式という制度は、もともと
「将来世代が損することが明らかな」制度です。年金制度を始めた頃に年金を受け取る世代は当然、保険料は払っていません。そして、その負担分が、将来世代に受け継がれていくことになるからです。ただ、人口が増え続けていれば、その損失は表面化しません。人口が減り始めると、明らかになってくるのです。
*注
この記事は、2月14日に掲載したものですが、2月23日、厚生労働省から「年金改革法案での負担と給付が世代・世帯別でどう変わるか」という試算が公表されています。
1935年生 年金受取額は納付保険料の8.3倍
1965年生 年金受取額は納付保険料の2.7倍
1985年生 年金受取額は納付保険料の2.3倍
(いずれもモデルケースの場合です。また納付保険料には企業負担分は含まれていません。)
世帯種類別の給付水準についても発表されていますが、例えばモデルケースの場合、2004年の給付水準59.3%(年金額23.3万円)→2025年の給付水準50.2%(年金額23.7万円)などとなっています。
年金額は、23.3万円→23.7万円と増えているように見えますが、年金額は賃金上昇などを見込んでいるのに、お金の価値は現在の価格で換算されています。物価が上昇していれば、今23.7万円で買えるモノと同じモノを20年後も買うというようなことはできません。物価上昇分、お金の価値は割り引いて考える必要があります。
お金の価値を考える時には、時間軸についての認識が大切です。