高校受験/高校受験の基本情報・勉強法

高校受験の現状

公立高校の二極化や内申点のインフレ傾向など、高校受験を取り巻く環境は10年前とは激変。公立校でも中高一貫校が新設され、高校と大学が連携する高大連携が進むなど、大きな変化が見られます。今後、高校受験はどのように変わるのでしょうか。

伊藤 敏雄

執筆者:伊藤 敏雄

学習・受験ガイド

広がる公立高校の二極化傾向

2008年東大合格者数ランキング上位30校(合格者数1353名)のうち、公立高校は7校(206名)
2008年東大合格者数ランキング上位30校(合格者数1,353名)のうち、公立高校は7校(206名)。私立優位に見えるが……

ゆとり教育と学力低下問題で「公立不信」が広がりつつありますが、東京や大阪を除いては全国的には依然として公立高校が優勢であることに変わりはありません。

2008年東大合格者数ランキングこそ、上位30校(合格者数1,353名)のうち私立高校が20校(973名)、国立高校が3校(174名)、公立高校が7校(206名)と私立高校の優勢が続いています。しかし最近、東京においては日比谷高校や西高校など都立高校が合格者数を伸ばしていて、京大合格者数ランキングでも、堀川高校(京都)が合格者数を伸ばすなど、公立高校の巻き返しも見られます。

「公立高校」と一言で言っても、最近では公立高校に二極化傾向が見られ、ひと括りにできない状態です。例えば、文部科学省が指定する科学技術や理科・数学教育を重点的に行う「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」のほとんどは有名進学校に限られているのが現状で、こうした高校では特別に予算が配分されたり、大学から出前授業が受けられたりするなどして、ますます難関国立大学の合格者数を伸ばしています。

その一方で、偏差値50~55程度の中堅進学校は大学合格実績において苦戦を強いられています。以前ならこうした中堅進学校からも難関国立大学への進学が可能でしたが、最近では有名進学校に大きく水をあけられているのが現状。少子化の影響で定員割れを起こす高校も出てくるなど、公立高校の二極化は今後ますます顕著になりそうです。
 

絶対評価による「内申インフレ」

内申インフレで、今は「オール3.4程度」が中程度の学力となる
内申インフレで、今は「オール3.4程度」が中程度の学力となる

高校受験で一番のポイントは「内申点」と言えるでしょう。しかし、2002年度から通知表の評定が「相対評価」から「絶対評価」に変わったことで、内申のインフレ傾向が続いている点は見逃せません。

神奈川県では毎年、県内公立中学校3年生の通知表の評定値分布を公表しています。これによると、相対評価の時と比べて「1」「2」「3」の割合が低く、「4」と「5」の割合が高いことがわかります。


■内申インフレの現状

平成20年度神奈川県公立高等学校入学者選抜に関わる県内公立中学校第3学年2学期等の評定状況の調査結果より

平成20年度神奈川県公立高等学校入学者選抜に関わる県内公立中学校第3学年2学期等の評定状況の調査結果より

国社数理英の主要5教科の評定の平均値は、「3.36~3.41(相対評価時は平均値3)」で、内申点が「オール3.4」程度あってやっと中程度の学力ということになります。

こうした「内申インフレ」は神奈川県に限らず、全国の公立中学校で起きている現象。内申点の扱いにはくれぐれも注意が必要です。

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