相続・相続税/遺言書の書き方

失敗しない遺言書の書き方

遺言は、「法的に有効な遺言」を実現させる手続を理解したうえで行わなければ、せっかくの意思表示も無駄になってしまいます。今回は、遺言の法律基礎を確認しておきましょう。

執筆者:天野 隆

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正しい遺言のルールをしっかり理解していますか?
自分の遺産の相続を生前に意思表示しておくことを遺言といいます。遺言は相続をスムーズに実現させる方法の1つです。遺言は、法律的に保護されていますが、「法的に有効な遺言」を実現させる手続を理解したうえで行わなければ、せっかくの意思も無駄になってしまいます。

今回は、遺言の基礎を確認しておきましょう。初めて読む方には分りやすく基礎的に、今まさに直面している方には相続の専門家の知恵を説明します。

遺言が必要な人

遺言の必要な人は次の通りです。
■「争族」を未然に防ぎたい人 
子供達の仲が悪い、子供のいない夫婦、先妻と後妻にそれぞれ子供がいる場合など。近年では子供たちの仲が悪いわけでもないが、揉め事を防ぐ意味で念のため書かれる人も増えてきました。

■実情に合わせて合理的な遺産分割をしたい人 
農業や事業を営んでいる、身体障害者の子供がいる、行方不明の子供がいる場合など。

■相続人以外の人に財産を渡したい人
長男の妻に介護の世話になっている、孫に相続させたい、内縁の妻がいる場合など。

遺言でできること

遺言でできることは次の通りです。
■相続に関すること
・民法の法定相続分と異なる相続分の指定 
例えば、3人兄弟(法定相続分が1/3ずつ)で、「長男に全財産の1/2、次男には1/4、三男には1/4」と相続分を指定することができます。
・具体的な遺産の分割方法の指定 
例えば、「土地Aを長男に、土地Bを次男に……」と分割方法を指定することができます。

■財産処分に関すること
・相続権のない人に遺贈すること 
例えば、長男の妻、孫、内縁関係の人などに遺産を渡すことができます。
・公的機関や菩提寺への寄付 寄付という形で遺産を処分できます。

■身分に関すること
・子供の認知  
生前には様々な事情から認知できなかった場合でもこれにより認知できます。
・未成年後見人、未成年後見監督人の指定
その人が亡くなってしまうと未成年者の親がいなくなってしまう場合など
・相続人の廃除とその取り消し 

■遺言執行人の指定、指定の委託
確実かつスムーズに遺言を執行するには、遺言執行人を指定しておきましょう。執行人に第三者を指定するときは、執行費用をよくご確認下さい。

遺言のルール

遺言書の一般的なルールには次のものがあります。
・2名以上の人が共同で遺言することはできない
・遺言者に遺言する能力 (年齢、意思能力、法律行為ができる能力)があることが必要
・遺言者は本人の生存中に「遺言の取り消し」と「書き換え」ができる
・最新の日付と署名のある遺言書のみが有効
・遺言書に遺言執行者への報酬が記載されていない場合、家庭裁判所の判断に従う。
・遺言執行に関する諸費用、財産目録作成、遺言執行者への報酬などは相続人が負担する
※遺言は本人の意思を伝えるもので、その方法として口頭やテープに吹き込んだものは法的な効力はありません。

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