防犯/詐欺を防ぐ

“振り込め詐欺”は“手渡し”に警戒せよ!

平成20年10月の振り込め詐欺撲滅月間には、被害は一時減少したものの、「振り込め」に代わって「手渡し詐欺」が増加。自宅まで現金を受け取りにくる手口が激増しています。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

平成20年10月の振り込め詐欺撲滅月間には、被害は一時減少したものの、「振り込め」に代わって「手渡し詐欺」が増加。自宅まで現金を受け取りにくる手法が激増しています。

ATMは警戒されている?

現金を手渡しで詐欺師に?
現金を手渡しで詐欺師に?
ATMに誘導して、携帯電話で還付金などの還付手続をすると騙して振込みをさせる「還付金詐欺」は、ATMに警察官などを配備したり、職員からの「振り込め詐欺ではありませんか?」との声かけで、昨年の撲滅月間には目立って減少したものの、今年に入って「振り込め詐欺」はまた増加しています。

警視庁の発表によると、認知件数に占める手渡し詐欺の割合は昨年7月以前は5%以下だったのが、10月以降は20%を超え、今月(19日現在)は約33%で3件に1件が手渡し詐欺になっています。警察庁の資料でも昨年3~6月は手渡しは1.3%だったのが、12月は12%にはねあがっているとのことです。

これは、現金を自宅にまで取りに来るという手口で、ATMの操作もなければ、「受け子」と呼ばれる現金を受け取る仕事だけをする人物によるもので、たとえこの人物を捕まえたとしても、詐欺の仕組の複雑さにより大元の詐欺グループ摘発までには至らないというもどかしさがあります。

それにしてもなぜ、見知らぬ人物に現金を渡してしまうのでしょうか? この詐欺行為は、基本的には「オレオレ詐欺」に分類されます。息子や夫、孫などを名乗って、「会社の金を使い込んだ。補填しなければクビになる」などといった「不祥事」を理由にして、すぐにもお金が必要だと言い、自宅にある金、もしくはすぐに用意できる大金を、「代わりの者が受け取りに行くから」というものです。

現金を受け取りに人が来たら、それだけでも(本当のことなんだ)と思ってしまいがちですが、そもそも受けた電話の内容をなかば信じてしまっている状態であること、そして、渡すだけのお金があるということが問題です。たとえ、「家にはお金がない」といっても、「銀行から引き出して」と言われたら、「じゃあ、定期預金を解約してくる」など、とにかく現金を用意できる条件が必要です。

狙われる条件

家にも預金口座にも現金がなければ、被害に遭いようもないのですが、世界に誇る個人預金高の高い日本ですから、詐欺グループもそのあたりはちゃんと読んでいるのです。ある年代以上の人は、そこそこの預貯金を持っているものです。また、電話帳に氏名と電話番号が掲載されたままの人たちも狙われています。

若い人、新たに固定電話を持つ人は少なく、非掲載の申し出をせずに、電話帳に残ったままの人。また、地域での電話番号は古くからの番号というのがあります。若い番号というのか、その局番で、下四桁が若い数字の電話番号は、昔からその番号を使っているということ。つまり、安定した生活であり、経済状況であることが分かります。それにしても、なぜ、いとも簡単に騙されてしまうのでしょうか?

“振り込め詐欺”を疑っても

実際に被害に遭った男性のコメントを聞きました。「最後まで、半分はウソじゃないかと思っていた。しかし、もし、本当だとしたら、息子を救えなかった自分を一生悔やむだろうと考えた」つまり、ウソではないかと疑いながらも、万一真実だったら、自分はこの先一生悔やむことになる……それを考えたら、今ここで振り込んでしまったほうがマシ……という気になったそうです。

後悔することをためらうなら、なぜ電話一本かけて確認しなかったのか。それは、やはり心理的に急かされて、判断する時間がなかったからでしょう。電話一本で大金を依頼される……冷静に考えたら、それだけでもおかしなことなのに、短時間に判断を求められるのは辛いでしょう。つまり、自分の子どもや孫、夫などへの愛情を一瞬で確かめさせられるのです。

しかし、お金は奪われる、家族には責められる、では割りに合いません。息子などが大金を必要としている、と言われたらすぐに出せるか? 出してしまうか? をあらためて考えておく必要があるでしょう。2月は、再び振り込め詐欺の「撲滅月間」です。今一度、この機会に家族と連絡をとっておきましょう。被害を防ぐには家族の協力が不可欠なのです。

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